《記者コラム》気候変動で海流が崩壊?=チチカカ湖も水位低下

気候変動や地球温暖化という言葉を頻繁に聞くようになって久しい。温暖化が予想以上の速度で進んでいるとの警告も出ている。そこにまた、気候変動により大西洋の水循環の重要なパターンが崩壊する可能性があるという論文が発表された。
7月27日付G1サイト(1)によると、コペンハーゲン大学の研究者達は7月25日付科学誌『ネイチャー』に、「大西洋深層循環」と呼ばれる水循環が2025~95年に95%の確率で崩壊するという論文を出したという。
「大西洋深層循環」または「大西洋子午面循環」は、大西洋の表層では北上し、深層では南下するという南北循環を指す。この水の循環速度が落ち、弾力性もなくなってきているため、何もしなければ今世紀中に循環が崩壊するというのだ。
海は地球上で発生する熱量の90%を吸収する上、温室効果ガスも相当量吸い込んでいるため、海水が酸性化していると聞いたことがある。今回の記事の水循環の変化が熱帯地方の気温上昇を招いたりするとの記述は、ブラジル南部で短期間に四つのサイクロンが発生したことやブラジル北部・北東部の水害を思い出させた。
ブラジルの風水害激化の原因は森林伐採などとも関係しているが、日本などで発生している海流変化による魚の漁獲量や漁場変化も気候変動が主な原因だ。
先のサイトでは、水の循環崩壊はより早い時期に起こり得るとし、気候変動にブレーキをかける対策が急務とする科学者の主張なども伝えている。
温暖化がさらに進んでいることは、7月の世界平均気温が観測史上最高だったことやブラジリアの少雨など、様々な事象からも伝わってくる。
1日付クリマテンポ(2)によると、ブラジリアでは降水量が10ミリに満たない日が90日以上続いている。サンパウロ州水道公社の公式サイト(3)の各水系の貯水率から見ると、サンパウロ州の水瓶はまだゆとりがありそうだが、7月29日付G1サイトなど(4)(5)は、隣国ボリビアではラ米でも最大級の湖の一つのチチカカ湖が干上がり、ひび割れた湖底がむき出しとなった写真を掲載している。今年の水位は1998年に記録した33センチという史上最低水位を割る見込みで、警告も出ているという。
気候変動は人間の活動によって生じる温室効果ガスを減らさない限り、止まらない。気候変動を否定してきた人も、地球と共存し、子供や孫に健全な生活ができる環境を残したいと考えてきた人も、現状を再確認するべき時ではないだろうか。
(み)
(3)https://mananciais.sabesp.com.br/Situacao
(5)https://surgiu.com.br/2023/07/31/bolivia-emite-alerta-para-seca-no-lago-titicaca/