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ボルソナロ求心力急落タイミングに!=トランプの措置は助け舟となるか?

2025年7月11日

サンパウロ市のデモでのボルソナロ氏(Rovena Rosa/Agencia Brasil)
サンパウロ市のデモでのボルソナロ氏(Rovena Rosa/Agencia Brasil)

 「ひところの勢いがないな」。最近のボルソナロ前大統領に関するニュースへの人々の反応を見るにそう思う。
 大統領選世論調査シミュレーションでの支持率そのものは、ルーラ政権の人気低調に乗じて悪くない。だがそれはボルソナロ氏に限ったことではなく、ミシェレ夫人やタルシジオ・デ・フレイタスサンパウロ州知事など、同氏よりも社会的知名度の劣る代替候補も変わらない。同氏への支持はあくまでも「保守派の代表としての象徴的名前」だからというだけで、「ボルソナロ氏以外に候補がいないのだ」という切迫感を伴うものではない。
 切迫感の無さはとりわけ4月以降に行われた同氏主導のデモでも感じられた。4月以降というのはズバリ、クーデター計画疑惑の裁判で被告となって以降ということだが、それからのデモの入りがことごとく悪い。リオ、ブラジリア、サンパウロ市と行われたが、いずれも動員は2万人にも満たない規模。6月29日にサンパウロ市で行われたデモに関してはその日のネットの話題すら独占できなかった。
 また、7日に米国のドナルド・トランプ大統領がブラジルでのボルソナロ氏の迫害状況を訴えた際も思ったほどの反応はなかった。ネット上ならばボルソナロ氏の恩赦を求める声も盛り上がるかと思われたがその気配はない。同日のフォーリャ紙サイト、G1サイトの人気記事1位は「南米大陸横断鉄道に関しての調印」だった。
 そうした矢先の9日、トランプ大統領はブラジルからの輸入品に対して50%の税を課す宣言を行った。その理由にボルソナロ氏への迫害を挙げている。
 同件については日数を経ないとしっかりとした判断をすることは難しい。だが発表後、SNSプラットフォーム「X」のトレンドにはこの話題が多く上がった。それでもその内容は「ブラジルの主権を侵すな」「(三男の)エドゥアルド氏が自分の父親を助けようとブラジルに不利益をもたらす働きかけを行った」など批判的なものが大半。「今すぐ恩赦を(アニスチア・ジャー)」など、デモの際に繰り返し用いられた迫害救済を求める言葉は上位使用ワード30位に入っていなかった。
 トランプ氏のこの措置をめぐり、気になるのは連邦議会最大の中道勢力セントロンと金融街ファリア・リマの対応だ。ボルソナロ氏の求心力低下の背景には、これらの勢力が2026年大統領選におけるボルソナロ氏の出馬が困難と見て、タルシジオ氏を候補として優先させる思惑を強めているとの憶測がある。トランプ氏の今回の措置で彼らが再びボルソナロ氏に白羽の矢を立てることはあるのか。注目したいところだ。(陽)


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