《記者コラム》代表入り候補続出となったクラブW杯

前回に続き、今回もサッカーのクラブW杯について触れたい。今回のクラブW杯の結果は、ブラジルのサッカー・クラブにとって自分たちのやっているサッカーが間違っていなかったことを示し、自信につながった。数多くの選手が活躍し、ブラジル代表(セレソン)を率いるカルロ・アンチェロッティ監督にとっては嬉しい頭痛の種にもなっているようだ。
セレソン起用の観点からコラム子が特に気になったのはセンター・フォワードの選手たちだ。マルコス・レオナルド(アル・ヒラル)とイゴール・ジェズス(ボタフォゴ)の2人を起用するのはどうだろうか。
センター・フォワードは2023年の新チーム発足時から泣き所だった。それまでのレギュラーだったリシャルリソンが長期のスランプ。そこを本職でないロドリゴや、本職ではあったもののトップ下の方が良い結果の出るマテウス・クーニャ、将来有望なもののまだ経験不足な10代のエンドリックが務めるも、「帯に短し襷に長し」だった。一番最近の試合ではヴィニシウス・ジュニオルが急遽務めていたほどだ。
だが、マルコスとイゴールが大舞台で自身の可能性を大いにアピールした。マルコス・レオナルドは強豪マンチェスター・シティを相手に2得点を記録。とりわけゴールエリアに入ってからの動きと決定力、酷暑のサウジアラビアで鍛えた体の強さが魅力だ。一方のイゴール・ジェズスは献身的な守備も行い、攻撃への素早い切り替えからの決定力の高さが魅力だ。
この2人が機能すれば、ヴィニシウス・ジュニオルが「偽9番」を務める必要はなく、本来の左ウイングに集中できる。チームエースである彼の負担減を考えても意義があるように思う。
人材豊富なウイングでは、マルコン(アル・ヒラル)やパウリーニョ(パルメイラス)の今大会での実戦での勝負強さを考慮すれば、交代要員でも活躍する可能性が高い。自身のドリブルから積極的にチャンスが作れているのは貴重だ。
守備面ではボランチのマルチネッリとセンターバックのイグナシオのフルミネンセコンビが堅守を見せている。マルチネッリはセレソンにも度々選ばれている元チームメイトのアンドレよりも評価する声があり、イグナシオは現在のチームメイトであるW杯4度出場の伝説的プレーヤー、チアゴ・シウヴァとのコンビでの成長を感じさせる。センターバックではボタフォゴの若手、ジャイールにも高い将来性が感じられる。
左サイドバックでは、一時セレソンでもレギュラーだったレナン・ロディがアル・ヒラルに移籍して落ちていた調子を取り戻したことを印象付けている。セレソンでまだ固まりきっていないポジションだけにまだ望みもある。(陽)