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《記者コラム》予想外の大盛り上がり!=ブラジル人が自信を取り戻したクラブW杯

2025年7月10日

PSG戦でのボタフォゴのイゴール・ジェズス(Vitor Silva/Botafogo)
PSG戦でのボタフォゴのイゴール・ジェズス(Vitor Silva/Botafogo)

 「もしかして近年行われたサッカー大会の中ではブラジルにおける一番の盛り上がりを見せているんじゃないか」。そうとさえ思える。現在開催中のクラブW杯のことだ。

 クラブW杯が今回のように全世界32チームの規模で開催されるのはこれが初めて。開催前は前例のないことから、ワールド・サッカーファンにもピンときていない人が多かった。ところが、いざ始まって見たら連日大盛り上がり。出場したブラジル勢すべてがグループリーグを突破して16強入り。しかも、その過程では今年の欧州チャンピオンズ・リーグ覇者のPSG(フランス)やイングランドの強豪チェルシーへの勝利も含まれているからなおさらだ。
 これはブラジルサッカー・ファンにとって喜びであり、驚きでもあっただろう。ここ数年、ブラジルサッカー・ファンは自分たちのサッカーに自信をなくしていた。W杯では2002年以来優勝がなく、クラブW杯でも2012年にコリンチャンスが優勝して以降はすべて欧州チームが優勝。ブラジルからは優秀な選手が欧州のチームに取られてばかりで国内リーグのレベルも下がるばかり。そういう印象を持たれていた。
 だが、それが決してそうでないことが、このグループリーグの試合で証明された。確かにラッキーな面もある。この季節、欧州のリーグはシーズン・オフで南米のリーグは絶賛開催中。米国の気候の暑さも欧州のプレーヤーには堪えることも確かだろう。だが、それを差し引いても、精鋭たちを多くかき集めた欧州のチームに全く力負けしていないことが多くの試合で証明された。これは確かに自信回復につながるだろう。
 だがコラム子がそれ以上に驚いているのは、ブラジルサッカー・ファンの贔屓チームの壁を超えた熱心な応援ぶりだ。コラム子のこれまでの印象では、ブラジル人は自分が応援しているチームへの忠誠心からライバル・チームが活躍してても絶対に応援しない。場合によっては不幸さえ願う。そういう印象があった。今回も一部はそうなのかもしれない。だが、欧州チーム達への強い意識があるからなのか、今回はいつになく、ブラジル全土のサッカー・ファンが一致団結しているように見える。
 また、この熱狂の中、若い好選手達が育ってきているのも収穫だ。エステヴォン(パルメイラス)、イゴール・ジェズス(ボタフォゴ)、ジャイール(ボタフォゴ)、ワラセ・ヤン(フラメンゴ)などは確実に株を上げたように見える。
 こうしたことがプラスとなって、アンチェロッティ監督の代表チームへと結実してくれることを願いたいところだ。(陽)


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