《記者コラム》国立博物館が展示を再開=火災後7年、修復未完も

リオ市北部の国立博物館が2日朝、同館の一般公開を部分的に再開した。同博物館は18年7月2日夜に発生した火災で屋根が焼け落ち、2千万点超のコレクションの約80%を焼失した。その後7年間の修復工事を経て外面の75%、屋根の80%が修復され、今回の部分的な一般公開にこぎつけた。(1)(2)(3)
2世紀前に建てられた建物はかつてのブラジル王家の住まいで、現在はリオ連邦大学の管理下に置かれている。1818年創設の博物館はラ米では最も古く、世界的にも最も重要な博物館の一つとされていた。歴史的な建造物や長年かけて集められたコレクションの大半を焼失したことによる科学的、学術的、歴史的な損失は計り知れないと言われた。

その博物館がやっと、一般公開できるほど修復されたのだ。これは24年8月29日の公立校生達がコレクションに触れられるようにするための常設スペース開設に次ぐ、画期的な出来事だ。
火災から7年を経て一般公開されるのは宮殿内の三つのスペースで、8月31日まで、開館200周年を記念した特別展「巨人達の中で:国立博物館での体験」が無料開催される。
入館してすぐに目に留まるのは、137年前に収蔵され、火災後は博物館復興の象徴となった5・6トンのベンデゴ隕石だ。次の部屋では博物館の歴史と宮殿再建に焦点が当てられ、歴史的な建物の建築や修復工事の詳細を公開。火災を免れたカッラーラ大理石の彫刻2点も展示されている。
隕石の後方には、中央階段上方の天井から吊り下げられた15・7メートルのマッコウクジラの骨格も見える。これは最近収蔵されたもので、南米で展示されているものでは最大の骨格標本だ。名前はまだなく、来場者達は名前を選ぶのを手伝うことができる。
今回の再開は部分的で、歴史的な宮殿の再建工事と資金調達は今後も継続して行われる。工事の総予算は5億1680万レで、内3億4720万レは既に、国立経済社会開発銀行(BNDES)などの公的機関と民間企業から調達された。

カミロ・サンタナ教育相は6月30日に、必要資金の残りの約1億7千万レの調達を保証し、ペトロブラスからの拠出交渉も再開した。
同相によると、教育省は23年に約200万レの予算を割り当てたが、実際には2200万レを投入。24年は3千万レ、今年も1700万レが予算化されており、予算は確実に確保できると約束。ルーラ大統領も、必要な資金を確保し、事業を完了させるために公的銀行、BNDES、ペトロブラスといったパートナーを探すことを約束しているという。
リオ連邦大学のロベルト・デ・アンドラーデ・メドローニョ学長は、同博物館は歴史や文化、科学の面でも国の象徴で、ブラジルや世界のために研究者を育成する、国際的にも評価の高い機関であり、宮殿の再開は教育・研究活動にとっても画期的な出来事だと強調している。
形のあるものはいつかは壊れ、朽ちるが、火災という大きな試練を乗り越えた博物館が新たな一歩を踏み出せたことを喜ぶと共に、修復工事の完了と、その後も与えられた役割を果たし続け、歴史的、文化的な遺産の数々を後世に伝えていけるよう、願わされる。(み)