《記者コラム》40年間で最悪の自然災害=サイクロン被害のリオ・グランデ・ド・スル州

4~5日にリオ・グランデ・ド・スル州を襲った暴風雨は寒冷前線とサイクロンが重なって生じたもので、6日昼過ぎの段階での死者は少なくとも31人に増えた。
5日昼過ぎの段階での報道では4人だった死者が続報の度に5人、6人と増えていく。ため息をつきながら記事を修正していたが、5日午後4時過ぎに一気に15人増えたと聞いた時は耳を疑った。消防によると、15人は全員、水没状態の1軒の家で死亡していたという。6日に入っても死者数はさらに増え、31人に達した。行方不明者数は現時点で未確定だ。
報道では、飼い犬を助けようとして浸水した家屋に入って感電死した男性、車に乗っていたところを濁流に飲み込まれてしまった夫婦、洪水によって孤立した女性を軍警官がヘリコプターで空中から救出している最中に救出用のロープが切れ、約20メートル上空から川に落ち、女性は死亡、軍警官は重傷で入院などの事例が報告されており、各人が直面した危機や恐怖、周囲の人々の悲しみや驚きなどを思うと、胸が押し潰される。
テレビでは、屋根の上に逃れて救助を待つ人々や激流で壊れる橋、そっくり持ち上げられて流される家などが映し出されている。
今回の風水害の死者は6月にも同州で発生した風水害の死者16人を大幅に超え、少なくとも40年間で最悪の事態となっている。
リオ・グランデ・ド・スル州のエドゥアルド・レイテ知事は5日夜、今回の風水害が同州にとって最悪の自然災害であることを認め、6日午前中には、同知事から支援を求められた連邦政府の閣僚達も現地視察を行う。
サンタカタリーナ州やパラナ州でも4~5日には暴風雨の被害が出た。親戚や知人宅、避難所に身を寄せ、不安な夜を過ごした人も多い。
南部では7日以降も雨が降る見込みで、既に大量の水を吸った地盤が崩れて生じる土砂災害も含めた災害から人々が守られるようにも祈らされる。
ミナス州でも5日に暴風の被害が出た。中国やギリシャでの大水害の様子も報じられている。気候変動で規模の大きな風水害が頻繁に起きていることを思い起こさせる一幕だ。
8月29日付アジェンシア・ブラジルは、暴風雨や大洪水といった、かつては稀だった大規模災害がより頻繁に起きており、早急で思い切った気候変動対策が必要という英国の大学教授の言葉を掲載した。
ブラジル南部での頻繁なサイクロン発生や3カ月足らずでの死者数の記録更新は、ブラジルも気候変動の影響の例外ではないこと、地球温暖化や気候変動に関する言説が机上の空論ではないことを明確に示している。(み)