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モジを「ラーメンの町」に!=ブームで日本製製麺機フル稼働(中)

2023年11月25日

機械で袋詰めされているラーメン
機械で袋詰めされているラーメン

納得のいくラーメンのために自家製麺

 日本で学んで「MNラーメン」をオープンしたとはいえ、最初、ブラジルで日本同様のラーメンを作るためにぶつかった壁は、麺の質であった。まずブラジル産の小麦粉は日本製とは品質が異なる。そのため、スーパーで小麦粉を買って作ってみたが、ゆでると麺が白くならずに灰色がかりコシも出なかった。
 その原因を、自社の食品分析センターで調べてみると、一般市場に出回る小麦粉の品質の不安定さにあることが分かった。ラーメンの麺には11~12%のタンパク質が必要だが、その値が常に変動する。また、灰分含有量が多いために白くならない。パンなどは焼けば分かりにくくなるが、ラーメンでは使用した小麦の品質がはっきりと出る。
 市販の小麦粉では求める麺が作れないということで、「灰分の少ない小麦を売ってほしい」と業者に頼むと、市販の小麦よりも20%高い価格を提示された。それでも「お客様まで良い品物を届ける」という松田さんのこれまで一貫した思いと、MNグループの企業理念である「安心・安全・こだわり」の製品、「品質と信頼」で顧客第一の信条を全うするため、特注品の仕入れを決定した。現在も小麦粉の成分を食品分析センターで抜き打ち検査して、常に安定した品質の麺を製造している。

MNフード社のラーメンキット
MNフード社のラーメンキット

 ラーメンの麺を決定づけるのがかん水だが、日本では自由に入手して使用できるが、製麺を始めた当初はブラジルでは使用許可が必要だった。
 「かん水はごく少量しか使わないので、日本からこっそり持ってきて加えることもできた。でも、『世の中は土俵の真ん中で相撲を取らないと長続きしない』との信念から、政府から2年がかりで許可を得て、研究を重ねて完成させた」という苦労を経験した。その麺は2015年から出荷を始めた。
 年々売り上げが伸びていたが、2020年と2021年はパンデミックの影響で大赤字を経験した。それでも、MNプロポリス社全体で乗り切り、昨年からは態勢を持ち直した。テイクアウトが増えた影響で、味噌としょうゆをベースとしたスープの素と麺1玉が入ったラーメンセットも人気商品となった。

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オーガニックしょうゆと味噌を使用したラーメン

 MN社が麺の研究と同時に力を入れたのが、ラーメンの調味料に使うオーガニックのしょうゆと味噌、塩こうじだった。
 松田さんは「変わったことを変わったやり方で行わないと、先人には勝てない」と考え、以前、オーガニックのマンジオカ焼酎を製造・販売していた。その後、マンジオカ焼酎の製造施設がオーガニックのしょうゆや味噌を製造する施設としても利用できたため、日本のしょうゆ会社で製造工程の管理を学び、本格的な生産を始めた。
 松田さんは「刺身や和食を食べる時、自分が満足するしょうゆを作りたかった」との思いから妥協を拒んだ。日本の伝統製法で100%自然発酵させる関係で、オーガニックの原料は通常価格の約3倍もかかる。それでも押し通して生産にこぎつけた。結局、納得のゆくしょうゆが完成するまで2年を費やし、2018年から小売りを始め、現在は1か月に約7千リットルが製造されている。
 また、オーガニック味噌及びしょうゆで使用する麹は、花がすべて咲く一回しか使用せず、それが深いコクと香り、おいしさの秘密となっている。(続く/取材:大浦智子)


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