ふるさと巡り=北東伯の日系社会を訪ねて(6)=コチアから続くジュアゼイロ日系社会

ふるさと巡り2日目の夜、一行はお洒落をしてホテルのフロントに集合した。これから重要イベントである現地日本人会と交流するためだ。参加者たちにとって、現地日本人会を訪問することは、普段出会うことができない同砲と交流し、自分たちの経験や想いを共有する大事な時間になる。バイア州ジュアゼイロ市にあるヴァレー・ド・サンフランシスコ日本ブラジル体育協会(ACENIBRA・石川モニカ会長)の会館に到着すると、会場には会員ら48人が歓迎夕食会のために集まっていてくれた。会場にはこれから振舞われるであろう、すき焼きの良い匂いが満ちていた。
今年設立40周年を迎えた同協会は、約80以上の家族会員を中心に、日本文化に興味を持って会員となった非日系人の個人会員で構成されているという。
同地へ日系人が多く移住したきっかけは、83年に実施されたクラサプロジェクトだ。聖州バストスやモジ・ダス・クルーゼス、リンス、パラナ州ロンドリーナからコチア青年の33家族が移住した。現在は21家族が残っているという。移住当初は、メロンやスイカ、トマト、玉ねぎを栽培し、現在はぶどうやマンゴーが有名だ。
歓迎式典では、同協会の太鼓グループ「同心」が演奏を行った。同心の結成は10年前、サルバドールの盆踊り大会での太鼓の演奏に憧れを持った若者たちによって行われた。その後、JICA協力隊員による指導や他のグループとの練習会を行いながら、今日まで活動を続けてきた。同心の力強く元気な演奏に、ふるさと巡り一行からは惜しみない賞賛の拍手が送られた。

式典後、自由交流の時間となった。ふるさと巡り一行の長尾トモコさん(83歳・熊本県)は「会員の方から、移住当初のとても苦労した話を聞いた。日本人が少ない地域の中で、一生懸命に日本文化を守り抜いている現地の人を誇りに思います」と語った。
交流の様子を取材し終え、美味しいすき焼きも食べ終えた記者。お皿を下げに、台所へ向かうと非日系のブラジル人女性に呼び止められた。(続く、島田莉奈記者)