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ブラジルメーカーが電気自動車開発断念=「ブラジルのマスク」負け惜しみ

2024年7月13日

フラビオ・アシス氏と試作中のハイブリッド車「レカール459」(Foto:Divulgação)
フラビオ・アシス氏と試作中のハイブリッド車「レカール459」(Foto:Divulgação)

 ブラジル産の電気自動車の夢は、再び頓挫した。自動車ブランド「レカール(Lecar)」はこの度、電気自動車開発を中止し、ハイブリッド車に焦点を絞ると発表した。創業者は、ハイブリッド技術により、30リットルのエタノールで1千km走行可能な車を提案している。しかし実現には技術的、規制的な障壁を乗り越える必要があり、一筋縄ではないと6日付CNN(1)が報じた。
 かつてブラジルメーカー「グルジェル(Gurgel、1969〜94年)」は電気自動車の試作品を持っていたが、市場に出すことなく倒産。2022年設立のレカールも同じ末路を辿ることになった。 「ブラジルのイーロン・マスク」と自称する、ブラジル南東部エスピリト・サント州の実業家フラビオ・フィゲイレド・アシス氏が創業したレカールは、電気自動車を諦めハイブリッド車の生産に注力することを決定した。
 アシス氏は「開発期間中に行われたテストや、既に発表された国際的な研究を通じ、ハイブリッド車は多くの点で、電気自動車よりも社会にとって有益であるという結論に至った。今後我々はエタノールを燃料として電力を生成し、100%電気モーターで駆動するハイブリッド・フレックス技術により、30リットルのエタノールで1千kmの走行可能な車を提供する。これは、世界初のプラグレス電気自動車となる」と説明する。
 しかし、この技術は目新しいものではなく既にブラジルでもホンダの新型シビック・ハイブリッドがまさにこの仕組みを兼ね備えている。ガソリンエンジンと二つの電動モーターを搭載し、内燃エンジンはほとんどの時間を、車を動かすための電力を発生させるために作動する。
 レカールは、ハイブリッド車はブラジル民にとってより現実的で手頃な選択肢であり、市場にはすでにそれなりに成功したハイブリッド・モデルがあるが価格はまだ高いと主張する。
 アシス氏は「我々の新たな使命はこの現実を変えることであり、ブラジル人の金銭事情に適したハイブリッド・モデルを提供し、国内のモビリティ革新に貢献することだ」と話す。
 レカールはサンパウロ州バルエリ市のオフィスパークに本社を構え、リオ・グランデ・ド・スル州カシアス・ド・スル市に工場を新設中だ。アシス氏によると、同社は現在ハイブリッド車の試作中であり、近々新たな市場投入時期を発表する予定だという。
 この競争の激しい市場での経験不足と、プロジェクトに関わるその他の複雑な変数が、同社の計画を成功させる能力に疑問を投げかけている。業界の専門家は、ハイブリッド車は電気自動車よりも設計・製造がはるかに複雑であると見ており、今日同種の車両をブラジル内で生産しているのはトヨタだけだという。
 手頃な価格で効率的なハイブリッド車は魅力的だが、実現までの道のりは長く不透明だ。


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