【3日の市況・速報】Ibovespa0.61%高の15万0454.24ポイント/初の15万ポイント突破 AI関連株の追い風で上昇続く
南米・ブラジルの金融市場・政策・国際情勢動向
セリック据え置き観測強まるなか、投資家は決算発表とブランド価値にも注目
ブラジル株式市場が再び歴史的な節目を超えた。11月最初の取引日となった月曜日、サンパウロ証券取引所(B3)の主要株価指数イボベスパは0.61%高の15万0454.24ポイントで取引を終え、史上初めて15万ポイント台を突破した。終値としては過去最高を更新し、9営業日連続の上昇を記録した。
一時は15万0761ポイントまで上昇する場面もあった。為替市場でもレアルが堅調に推移し、ドルは0.42%安の1ドル=5.357レアル。金利先物(DI)は全ゾーンで上昇した。

注目はコポム会合 利下げは見送り見通しも、文言に関心
サンパウロ市場では今週、ブラジル中央銀行の金融政策委員会(コポム)による政策金利(セリック)決定が最大の焦点となる。市場では、11月会合での利下げは行われないとの見方が大勢だが、声明文のトーンには注目が集まっている。
証券会社XPは「インフレ率は減速傾向を示しており、為替も年初からレアル高基調。食品価格も軟化している一方で、労働市場の逼迫と拡張的な財政政策の兆候が見られる」と分析。初回の利下げは2026年3月以降になる可能性が高いと予測した。
中央銀行が毎週発表する「ボレティン・フォーカス」では、インフレ見通しが6週連続で下方修正されており、慎重姿勢を維持する根拠ともなっている。
決算シーズン本格化 イタウが主役、ペトロブラスやエンブラエルも続く
今週は企業決算の発表も相次ぐ。3日(火)には、時価総額でB3最大企業となったイタウ・ウニバンコ(ITUB4)が決算を発表する見通しで、純利益は118億レアルと過去最高を更新する見込み。同行株はこの日1.66%高となった。
ペトロブラス(PETR4)も木曜(6日)の引け後に第3四半期決算を予定しており、株価は1.18%上昇。約1000人規模の自主退職プログラム(PDV)を発表した。
その他、バンコ・ド・ブラジル(+0.82%)、ブラデスコ(+1.10%)、サンタンデール(+1.22%)と銀行株が総じて堅調。
航空機メーカーのエンブラエルはティッカーを「EMBJ3」に変更し、0.32%高。電力大手エレトロブラス(現アクシア・エネルジア)は0.88%上昇した。
一方、バス車体メーカーのマルコポーロ(POMO4)は売上が予想を下回り、8.11%安と急落。国内需要鈍化への懸念が強まった。
11月の配当シーズン始動 ペトロブラス、ローカリザなど23社が還元
調査会社クァンタム・ファイナンスによると、11月にはB3上場企業23社が株主還元を予定している。銀行各社が先陣を切り、ブラデスコ、イタウ、バネステスなどが配当・JCP(資本利息)を支払った。
第2週にはコパサ、JHSF、モンテイロ・アランハ、アルファ・ホールディングが続く。第3週にはローカリザとペトロブラスが登場。ペトロブラスは21日に計86億6000万レアルのJCP第1弾を支払う予定だ。
最終週には電力大手タイーザ(Taesa)やイサ・エネルジアを含む9社が控えており、11月は“配当の月”となる。
森林基金に100億ドル目標 ハダジ財務相、COP30へ意欲
フェルナンド・ハダジ財務相は3日、ブラジルがCOP30議長国として年末までに森林保護基金(Tropical Forest Fund)への各国拠出金を100億ドル規模に引き上げる目標を掲げたと明らかにした。
「初年度に100億ドルの公的資金を確保できれば大きな成果だ」と述べ、今後は企業や基金からの民間資金も呼び込む方針を示した。
「ブランド価値」でも躍動 ヌーバンクが国内首位、イタウが続く
同日、情報サイト「インフォマネー」とブランド評価会社TM20ブランディングなどが共催する「2025年ブラジルで最も価値あるブランド50社」ランキングが発表された。
1位はデジタル銀行のヌーバンク(Nubank)で、ブランド価値は2147億6000万レアル。続いてイタウ銀行(764億レアル)、通信大手ヴィーヴォ(500億レアル)、カイシャ・セグリダーデ、ビールブランド「スコール」と続く。
TM20社のトミヤCEOは「ISO10668に準拠した国際基準の手法で、財務指標と消費者認知を総合的に評価した」と説明した。
「信頼、親近感、目的意識を価値に変えた企業こそが、この新時代の勝者」とインフォマネーのマテウス・ロンバルディCEOは語った。
違法ストリーミング、南米で一斉摘発 「マイ・ファミリー・シネマ」など遮断
一方、デジタル分野では規制の動きも進む。アルゼンチン当局の捜査を端緒に、ブラジルで30以上の違法ストリーミングサービスが停止された。対象には「My Family Cinema」や「Eppi Cinema」などが含まれる。
ブラジルの通信監督庁アナテルは声明で、「今回の遮断はアルゼンチンの司法判断に基づくもので、アナテル自身は手続きに直接関与していない」と説明した。
違法配信の遮断は、南米、メキシコ、南アフリカなど広域に及び、「ガトネット」と呼ばれる非合法テレビ視聴機器の供給源が断たれた形だ。
結語:記録尽くしの11月幕開け
株価指数、ブランド価値、森林保護基金、そして規制の網。
ブラジル経済は11月に入り、あらゆる分野で“記録”と“転換”を刻み始めている。
AIがもたらす新たな潮流の中で、実体経済と金融市場の両輪が試される月となりそうだ。









