日本発の環境型農業=注目の「ヤマカワプログラム」(7)=農園センプリヴェルデを訪ねて

ジュアゼイロ市北東部に位置する農園ファゼンダ・センプリヴェルデの視察では、経営者のフジサワ・ヴァルテル・テルユキさん(58歳、2世)が不在だった為、共に経営を行う娘のヒトミさん(32歳、3世)が畑の説明を行った。
同農園ではヤマカワプログラムを昨年11月から一部の区域で試験的に導入、果物の実や畑の変化からその有効性がわかったという。
ヒトミさんは、「ヤマカワプログラムを試験的に行った結果、2種類あるマンゴーどちらも収穫量が約20%増加しました。バナナもより大きく、良質な実ができました。作物の為の栄養素(肥料)の使用量は以前より減り、それでいて作物の病気や害虫への耐久性は強くなり、本当に驚いています。この結果は経済的なメリットの他、美味しく健康的な果実を消費者に提供でき、生産者としての信頼向上に繋がると感じています」と語った。
同農園の管理に携わる農業コンサルタントのオニシ・ルーベンス・マコトさん(70歳、2世)は、「作物の実だけでなく畑自体も変化しました。例えば畑の道はヤマカワプログラムを試した場所は地面に水が溜まらず、アリや蚊などの害虫が減り、作業がしやすくなりました。以前は地中が乾燥していましたが、今では水分を良く吸って小動物も増えました。バナナの幹もしっかりしていて葉もしだれていません」と語る。
ヤマカワプログラムの船戸さんらは、マンゴー畑とバナナ園の土を掘り、同プログラムによって硬盤層が減少して土地が改善された様子や、土中の新しい毛根を確認。土壌の柔らかさは測量機「トラバービン」を使用して測定した。
船戸さんは、肥料を与える際の注意点や、潅水方法、土中確認時に新しい毛根の様子を確認することの重要性など様々なアドバイスを行なった。船戸さんは、「まだ完全ではありませんが、土は水を含み、根から新しい毛根が生えていることがわかりました。栄養吸収が上手くいっていると感じます。このまま継続すれば、畑はもっと良くなるでしょう。今後の更なる変化に期待ですね」と述べた。(続く、淀貴彦記者)