経常収支の赤字急増で懸念=2カ月間で昨年同期比2倍

中央銀行が26日、2月の経常収支は88億ドルの赤字で今年最初の2カ月間の累積赤字は昨年同期の倍以上の173・1億ドルとなったと発表し、専門家の間で懸念が広がっている。(1)(2)
経常収支は対外収支の指標の一つで、輸出入の差を指す貿易収支、国外旅行や特許使用料などのサービス取引関連のサービス収支、国外からの利子や配当金等の第一次所得収支、政府開発援助などの無償資金援助の第二次所得収支からなる。
2月の経常収支赤字額は昨年同月の39億ドルの2倍以上で、12カ月間の累積赤字は国内総生産(GDP)の3・28%に達した。1月までの累積赤字は653億ドル(GDPの3・03%)、昨年2月までは239億ドル(同1・07%)だった。1~2月の赤字173・1億ドルも昨年同期の83・1億ドルの倍以上で、急速に伸びている。
バランスが特に崩れているのは貿易収支で、2月の場合、昨年2月は44億ドルの黒字だった貿易収支が9・79億ドルの赤字となった。これは、輸出額が昨年同月比で1・8%減の232億ドル、輸入額が25・7%増の241億ドルとなったためで、27億ドル相当の石油プラットフォームの輸入の影響を受けた。
貿易収支は1月も黒字額が昨年同月比で65・1%減っており、2カ月間の累計黒字は昨年同期の99・5億ドルを大幅に下回る3・40億ドルに止まった。
2月のサービス収支赤字額は昨年同月と同水準だったが、第一次所得収支赤字額は昨年同月を5・26億ドル下回った。
中銀は、対外収支の赤字は国内経済が成長し、国外からの物品輸入やサービス経費が増えるからだと説明している。先週時点の今年の経常収支の推定赤字額は580億ドルで、昨年の600億ドルを下回る見込みだ。
ただ、27日付Valor紙(3)は、年頭の2カ月間の経常収支赤字額が昨年同期の倍以上にと、急速に伸びたことを懸念する声を掲載。それによると、専門家達は経常収支の赤字急増は石油プラットフォーム輸入による影響だけではなく、財政面や経済面での不均衡の兆候があると見ているという。
専門家達は、豊作による輸出改善と経済活動低迷による輸入減速が貿易収支の改善と経常収支の赤字削減に寄与する可能性を認めているが、政府が最近採用した経済刺激策がこの予測に疑問を投げかけているという。
これは、経常収支赤字額が、従来も経常収支の赤字を埋めてきた国外からの直接投資流入額に近づいており、対外収支の余裕がなくなってきているからだ。
レアグ・インヴェルティメントス主任エコノミストのマルセロ・フォンセカ氏は、経済政策の運営上の矛盾が対外収支に反映されており、経常収支が非常に悪化した上、12カ月間の累計赤字がGDPの3・3%に達していることを示し、「これは国内需要が潜在需要をはるかに上回っていることの反映で、政府の対策は火に油を注いでいる」と指摘。
2月の直接投資は予想を上回ったが、ここ数カ月間の経常収支赤字の大幅な増加で、両者の差は既にゼロに近づいているため、為替レートのクッションが枯れてポートフォリオへの依存度が高まるとも指摘。この状況では投資家の気分の変動に左右されやすくなり、為替レートの潜在的な変動性が高まる上、政府の政策が経済活動を刺激すると経済収支の動きが新たな懸念材料となるとも語っている。