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JICA協力隊員リレーエッセイ=ブラジル各地から日系社会を伝える=(41)=バドミントンで繋がる日系社会=イタペチ農事文化協会=久保田修世

2025年8月21日

バドミントンメンバーと久保田修世さん(前列左から4人目)
バドミントンメンバーと久保田修世さん(前列左から4人目)

 こんにちは。2024年4月から、サンパウロ州モジダスクルーゼス市でバドミントンの指導員として活動しています久保田修世です。

 モジダスクルーゼス市は、人口約45万人で、サンパウロ市から東へ約50㎞、車で1時間半の距離に位置しています。この地域には20世紀初頭から多くの日本人が移住しており、現在もその子孫である日系人が多く住んでいます。そのため、日本文化が根強く残っており、街を歩くと日本語の歌や日本語交じりのポルトガル語が聞こえてくることがあります。

 私はこの市の中心部から北に約20㎞のところにあるイタペチ農事文化協会(以下、イタペチ)に所属し、バドミントンの指導を行っています。

 この地域でも多くの日系人が生活しており、年間を通じて日系のイベントが開催されています。

 バドミントンはイタペチで非常に人気があり、子どもから大人まで、日系・非日系を問わず多くの方が楽しく練習しています。

 農村部に位置するため普段は人が少ない場所ですが、バドミントンの練習日には多くの人が集まり、活気があふれます。

 体育館には6コートがありますが、練習日には選手で常にコートがいっぱいになり、全員が入れないこともあります。

 選手の数も増加傾向にあり、より活気のある場所となっています。

 最近は、選手たちの成長を実感する瞬間が増えてきました。応援に来るだけだった保護者も一緒に練習をしたり、試合に参加する選手の数も増加し、チームとしての成長を嬉しく思っています。

 話は変わりますが、ブラジルでの生活を通じて、多くの貴重な経験を得ることができています。

 特に、年間を通じて開催される日系のイベントに参加できることは、非常に貴重な機会で、個人的にはブラジルに派遣される隊員の特権だと感じています。移民としてブラジルに根付き、日本文化を大切にしてきた日系人の思いを強く感じることができるからです。日系・非日系を問わず多くの方が日本文化を共に体験するその瞬間には、独特の魅力があり、毎回強い感銘を受けます。

バドミントンメンバーと久保田修世さん(立っている列の右から2人目)
バドミントンメンバーと久保田修世さん(立っている列の右から2人目)

 こうした日系のイベントでは、日本人としての誇りを覚え、嬉しくも思います。

 特にサンパウロでの運動会はとても印象に残っているイベントの1つです。

 日系・非日系、また年齢に関係なく多くの方が、競技を通じて交流を深めていたことは、すごくいいなと思えたからです。

 サンパウロでの運動会は日本と違って各チームの点数を競うことはなく、参加者たちはリレーや綱引き、盆踊りなど、競技自体を楽しんでいます。そうした参加者たちの姿は、日本式の運動会に慣れていた私にとって、違った魅力がありました。

 サンパウロでの運動会に参加していると、ビール瓶釣りなど、日本ではなかなか見ることができない競技も見ることができます。これは、かつて日本からブラジルに船で向かっていた際に、船上で行われていた運動会の面影が今も残っているからだそうです。

 このように、日系の歴史を感じる瞬間もあって個人的に気に入っています。

 私の任期は、折り返しを迎えました。今後もブラジルのバドミントン界に貢献することや、日系社会の文化や人々のためにも活動を続けていきたいと考えています。これからも多くの方々と共に、バドミントンを通じて絆を深めていきたいです。


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