真宗大谷派=大谷裕さんが来伯巡回=「来年8月の世界同朋大会参加を」

「来年8月に世界同朋大会をブラジルで開催しますので、ぜひみなさん奮ってご参加ください」―日本の京都に本山がある真宗大谷派(東本願寺)の開教司教を務めている大谷裕さん(40歳、2世)が9月29日、編集部を訪れ、来年の重要行事をPRした。
大谷さんの父は、第26代門首(現門首)の大谷暢裕。裕さんは、当地生まれのブラジル籍にして、現門首の長男。門首の継承順序の筆頭である新門であり、また宗派の海外開教における要職である開教司教を兼ねて務めている。現在は巡回のため、来伯中とのこと。
同行する二宮正人弁護士は、「彼が2009年に総領事館で国費留学試験を受けた際、ボクが面接官だった縁で今回わざわざ会いにきてくれたので、こちらにお連れした」と説明した。
裕さんは1985年、サンパウロ州サンジョゼ・ドス・カンポス市生まれ。高校まで同市で過ごし、サンパウロ大学(USP)で物理を学んだ後、東京大学大学院数理科学専攻で国費留学。2013年に修士課程を修了し、2017年に博士号を取得した。また、2013年に得度を受け、2016年にはすでに京都にいた両親と同居し、大谷大学大学院で仏教を学ぶようになる。
2020年、父である暢裕さんの門首就任に伴い新門となり、併せて開教司教に就任した。現在では本山での給仕に加え、日本国内のみならず海外の巡回も行っている。裕さんは「サンジョゼで日本語学校は通っていましたが、本山の仕事をさせてもらうようになってから日本語では苦労しています」と苦笑いする。
父である暢裕さんは、第24代門首大谷光暢(闡如)の弟である大谷暢慶の子として日本で生まれ、第25代門首大谷暢顯(淨如)の従弟でもある。父の暢慶さんが開教使としてブラジルに赴任したのに伴い、1歳の時に来伯し、ブラジル籍を有する。
USP物理学部学士課程を卒業後、1979年、ITA(航空技術研究所)で教職についた秀才だ。1985年、USPで物理学博士号を取得。1992年4月7日に得度。2011年11月、鍵役・開教司教に就任。2014年4月門首後継者に選ばれ、2020年7月、第26代門首に就任した。
南米開教監督部の小野将主計(33歳、大阪出身)は、「全伯・パラグアイなど南米全体で30近くの寺・仏教会があるが、開教司教には今回と、報恩講(親鸞聖人の命日を中心とした最も大切にされている仏事)に合わせての来伯で、できるだけの寺院に巡回して頂こうと計画しています」と説明する。
裕さんはこのたびの巡回で、来年8月29〜30日にフォス・ド・イグアスで開催される世界同朋大会への参加を呼びかけて回っている。前回は2016年の米ロサンゼルス大会で、10年ぶりの大会となる。裕さんは「普段会えない皆さんとの交流を通じ、機運を盛り上げていきたい」と意気込んだ。