site.title

島根県人会=特別イベント「神在」初開催=出雲大社の由来を説明=伝統文化展示や郷土料理も

2025年11月19日

画像スライダー (4枚)

ブラジル島根県人会(福間エジソン康幸会長)は創立70周年を来年に控え、その準備も兼ねて9日(日)に特別記念イベント「KAMIARI(神在)」をサンパウロ市南部の同会館で開催した。同じく来年70周年を祝う日伯文化連盟と共催。当日は県費研修生が持ち帰ったばかりの出雲大社のお札が神棚に祀られ、壁面には島根県のポスターや伝統的な催事で使われるお面、民具などが展示され、雰囲気を醸していた。

日本各地では旧暦10月を「神無月」と呼び、逆に出雲地方では神々が集まるために「神在月」と呼ばれてきた。出雲大社を有する島根県は八百万の神々が一堂に会する地とされ、古来より日本神話の舞台として重要な役割を果たしてきた。

中央に講演者が立って、周りに円形に来場者が座るアレーナ形式の会場には、100人近くが集まった。社会人類学者で日本研究家のヴィクトル・ヒューゴ・ケッベ(Victor Hugo Kebbe、サンカルロス連邦大学教授)氏が「神在月の意味」の文化的背景を深掘り講演した。

「キリスト教の神はどこかに鎮座するのではなく、すべての場所に同時にいる。一方、日本では八百万の神で、岩や森、自然そのものが神であり、どこの神棚にも神がいる。今ベレンではCOP30で世界中から代表が集まっているが、大昔にその神々版を毎年出雲でやるという発想がすごい」とユーモラスに論評した。

出雲大社の謂れとして、国譲り神話を紹介。大国主大神が治めていた葦原中国(日本)を、天照大神が孫のニニギノミコトに譲るように交渉。大国主大神が国を譲った対価として建てられた宮殿が、現在の出雲大社であるという創建の歴史を説明した。

国譲りが成立した経緯が神話として『古事記』や『日本書紀』に記されており、大和王権による日本の支配の正当性を説明し、天孫降臨神話の前提として天照大神の子孫(天皇家)を国史的に証明する逸話だ。

「このように、神在は日本文化の重要な側面を持っている。戦争をして相手を全滅させるわけでなく、共存する歴史。10月には天照大神も出雲に参った。大国主大神は七福神の大黒様とも呼ばれ、縁結びの神様。ブラジルでいう聖人サントアントニオだ。出雲はパワースポットであり、今でいう宗教ツーリズムの始まりとも言える」と興味深い解説を並べた。

質疑応答、モラレス松原礼子教授(サンパウロ大学)との座談会となり、最後は島根の郷土食として、縁結びの神にちなんでおむすび、出雲ぜんざいが振る舞われた。ぜんざいは出雲発祥とされ、「神在祭」で神様に振る舞われた「神在餅」が始まりだ。書道や将棋、生け花のワークショップも行われた。

来場者の丹波絵美さん(62歳、2世)は「日本で仕事をしたり、観光旅行もあちこちしたが、このような歴史は知らなかった。父は神道で、実家に神棚があったが、このような説明は聞いたことがなかった」と感心した様子で語った。

県費留学生OBで発案者の中島エドアルド理事は、「『神在』は島根の特性だが、県人には当たり前すぎるが、意外に他県人には知られていない。来年の節目に向けて、何か新しいことができないかと思った時、最近はゲームやアニメを通して日本の神様に興味を持つ若者が多いから、やってみたらどうかと思った」と始めた理由を説明した。

同県人会の石川セルジオ博暎顧問(71歳、2世)は「普段ここへ来ない人がたくさん来てくれた。この若い人たちが少しでも活動に参加してくれるようになってくれたらありがたい」と喜んだ。同県人会の最新情報はフェイスブック(web.facebook.com/shimanebr)やInstagram(@shimanebr)で。


秋田竿燈まつり=パウリスタ大通りで実演=本場の妙技を約2千人が見物前の記事 秋田竿燈まつり=パウリスタ大通りで実演=本場の妙技を約2千人が見物出雲の神々が戦うゲーム制作中=ホラー「Mizugame(水瓶)」次の記事出雲の神々が戦うゲーム制作中=ホラー「Mizugame(水瓶)」
Loading...