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ブラジル日系社会=『百年の水流』(再改定版)=外山脩=(335)

2026年2月5日


 同年、バイア州南端部のテイシェイラ・フレイタス付近で、果実団地を造成、組合員三〇人が入植。

 八二年、農務省系INCRAのマット・グロッソ州カルリンダ営農団地に参加決定。

 同年、内務省系サンフランシスコ流域開発公社のバイア州クラサ果実団地に参加、組合員三〇人が入植。

 同年、バイア州西部の超巨大平原、通称バレイラスのセラードで、組合員が集団で自主的に土地の購入を開始。八四年から五〇人が入植。翌年九〇人に増加。

 組合も事業所を開設。主作物は大豆。

 参考までに記しておくと、この超巨大平原に最初に目をつけたのは、穀物生産のため新地を求めてリオ・グランデ・ド・スール州から北上していたガウーショ(同州々人)たちである。八〇万㌶を取得した。

 コチアの組合員たちも、最初三〇万㌶、次いで二〇万㌶と買い進んだ。

 (コチア以外の)北パラナの日系農業者が新設した組合コアセラールも三〇万㌶を購入。 

 いずれも、そのスケールが世間を感嘆させた。

 土地の値段が未だ安かったこともあるが、それだけの資金を持っている人が未だ居たのである。

 話をコチアの営農団地造りに戻す。

 八五年、ミナス州ペルジーゼスに、北パラナの組合員四〇人が自主入植。カフェーを植え付け。組合も事業所支所を開設。

 八六年、前記のバレイラスに、リアション・ダス・ネーベス営農団地(二万㌶)を開設。

 コチア青年など戦後移民五〇人の入植を見込んでいた。

 八七年、第二次プロデセールがスタート。五州一五万㌶、十数組合の参加を予定していた。

 今回は、入植地は、参加組合が選定することになっており、コチアは入植地をバレイラスのオウロ・ヴェルデに決めた。一万四、〇〇〇㌶。三四人の入植を予定。 

 さらに、バイア州北端ジュアゼイロで果実団地、前出のテイシェイラ・フレイタス付近で(農拓協と共同で)二番目の果実団地、リオ州マジェーで蔬菜団地…を造成あるいは計画中であった。 

 パラナ州パウマスでも、新しいりんご団地を準備していた。 

 またコチアから話が逸れるが、同時期、スール・ブラジルは、農拓協との共同事業として八六年にバイア州南部ムクリで蔬菜団地を開設した。

 翌年の第二次プロデセールでは、ミナス州グァルダ・モールに土地を取得した。

 つまり前記のバレイラスの事例も含めて、営農団地造りは、農業界の時代の流れとなっていた。その必要に迫られていたのである。

 それと、これらのプロジェクトには、未だ幾らかの恩典つき融資が続いていたり、何らかの資金的な援助が何処かからあったりした。

 従ってコチアの動きは判らぬでもなかった。が、数の多さが異様であった。

 さらに、コチアは営農団地以外に、新しい施設を次々と作っていた。

 肥料工場、穀物用の乾燥装置付き大型サイロ、果実用の冷蔵倉庫、精綿工場、バタタの集配センター、蔬菜のパッキング・ハウス、液卵工場、バタタのフレンチ・フライ工場…。

 これらは総て一カ所ずつというわけではなく、複数の場合もあった。

 その多くは、組合活動にとって必要な施設であった。が、液卵やフレンチ・フライの工場は、性格が異なった。「生産物の加工分野への進出」であった。施設建設というよりは新事業だった。 

 その新事業は、ほかにも大プロジェクトが準備されていた。紡績工場の建設である。

 組合員が生産する綿を購入、綿糸を月間四三〇トン生産するという計画だった。

 組合が手掛ける加工事業としては、液卵やフレンチ・フライまでは判らぬでもない。しかし紡績工場となると、どうであろうか? 

 長年の経験を持つ繊維メーカーならともかく…。

 投資額は六、〇〇〇万ドルであった。

 いかに大コチアでも、命運にかかわる大事業となろう。

 ほかに営農資材その他の仕入れ・配給のための大型物流センター、チェーン式のスーパー・マーケット…等も計画中だった。

 銀行経営すら考慮中だった。

 経済活動以外では農業高校を開設中だった。二十年前に葬られた組合病院すら、息を吹き返そうとしていた。

 下元健吉の新社会建設構想「産業、経済、教育、衛生、その他百般の事業を産組が統括、経営せよ」を目指したかの如くであった。

 その取組み方は、驀進と表現しても大袈裟ではなかった。

 しかし奇妙であった。何故コチアだけが、ブラジル経済界の深刻な停滞ムード、瀬戸際に追い込まれた農業界の中で、こうであったのか、あり得えたのか…。

 八二年以降のプロジェクトに関しては、キッカケは、一九七五年から八一年まで続いたケイロウ専務の大合理化への反動もあった。(つづく)


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