森の夢
小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=79
酷暑の二月になると野火が猛るようにマラリヤは激しくなった。マラリヤ蚊は雨期と乾期の境い目に最も跳梁す...2024年11月13日
小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=78
しかし、話をしてみると戸田は気さくな男だった。陸軍で看護卒をしていた経験があり、コーヒー農園を出てサ...2024年11月12日
小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=77
ドラード河をはさんだ平地の草原の南側に、森がなだらかな斜面で盛り上っている。草原と森の接点に径がほん...2024年11月9日
小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=76
振り向くと畑中と福川がヤシの木で急造した担い台を運び込んで来た。 「おう、今帰った。――なんだ。それ...2024年11月8日
小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=75
「彦平さんが……」 「えっ、マレッタか!」 彼女は無言で大きく頷いた。 小屋の中で彦平があの日の定一...2024年11月7日
小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=74
その後姿を眺めていると、熊本の門前角平がソワソワして、 「うちのも、どうも今日産れそうでどわす」と言...2024年11月6日
小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=73
最も近い開業医の在所はバウルーだった。往診というには遠すぎる。数日がかりの旅行だった。札束を積めば来...2024年11月5日
小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=72
「どうだ」 「あんた、そんなことをして……」と妻はオロオロしたが少年は、 「もっと重くしてえ」と言っ...2024年11月2日