連載小説
小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=95
次の日十時頃、看護婦がきて、手慣れた残酷な動作で母の鼻腔から胃に通ずる管を入れ、鎮静剤注射を打った。...2024年2月24日
小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=94
母は何かで寝込むと、ママは弱虫だけどお前が一人前になるまで生きていたいと言い、親に早別れしたために苦...2024年2月22日
小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=93
母は私を孕もった時、それはひどい悪阻で医師をてこずらせ、かろうじて妊娠中絶を免れたのだそうだ。その時...2024年2月21日
小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=92
母はA市の女子団員の一人で、団の基金のリボンを売ったり、選手用のおにぎりを作ったりしていた。団員の中...2024年2月20日
小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=91
若い頃から母は病気と切り離されなかった。父のもとに嫁いだ時二十三歳だった母は、陸上選手であり、痩せ型...2024年2月17日
小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=90
母は手術によって死亡した知人の誰彼の名をあげ、自分もその中に加えられたような淋しい表情を見せた。 「...2024年2月6日
小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=89
祖国を愛した母は、遠隔の地で日本の敗戦を知った時、貧血を起こして何日も寝込んだという。私はブラジル生...2024年2月1日
小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=88
「切開して見なければ解らない。ただの潰瘍かもしれない。でも、一日も早く手術をしなくてはならないことは...2024年1月31日