流氓
小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=24
「今頃、何をしてたんだ」 出会いざま田倉は大声を出した。見つけたことを内心喜びながらも、渋面を見せる...2023年7月5日
小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=23
「おかあちゃん」 家に駆け込んだが返事がない。部屋に母はいなかった。カンテラの灯りが、ぼうっと周辺を...2023年7月4日
小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=22
「らしいな。モジアナ地方からきた男の話では、町の出口に塹壕など掘ったが、政府軍の飛行機に襲われ、耕地...2023年7月1日
小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=21
「お父ちゃんの四十二歳の厄払いやから、白ご飯にしたんやって」 横から浩二が言った。 「そうか、あいつ...2023年6月29日
小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=20
九時には朝食を告げるラッパが鳴る。若者たちはこの九時を待ちきれずにラッパの真似をして、朝食を促す。時...2023年6月28日
小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=19
これは移住して初めて知ったことで、移民を奨励した海外協会の宣伝文句にはない。日本移民は、 過密人口の...2023年6月27日
小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=18
コーヒー採集用のラステーロ(地面に落ちたコーヒーの実を掻き集める熊手)の柄に水樽の把っ手を通して背負...2023年6月24日
小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=17
深さ十五メートルの井戸は、綱で巻き取り式になっており、つるべは石油の空き缶がついている。缶に水が入る...2023年6月22日