孤立した民にも文明の恩恵=先住民居住地に太陽光発電

ヤノマミ族居住地で起きた金の不法採掘とそれに伴う水銀中毒や栄養失調、マラリア蔓延などの負の影響は、彼らの先祖伝来の土地や文化、命までをも脅かすものとして受け止められ、金鉱夫達を排除するための対策が講じられるようになった。
報道で10カ月の乳児と同じ体重しかなく、骨と皮になるまでやせ細った8~9歳児の姿を見、栄養失調で入院した子供達に付き添っていた母親も30キロまでやせ細り、栄養失調で亡くなったと知り、胸が痛む。不法採掘の金で私腹を肥やしている人達への怒りさえ湧いてくる。
また、「先住民も文化に慣れなければ」というロライマ州知事の言葉には自分達が持っているものが最上で他者はそれに追従すべきという奢りや、違いがある事が国や人を豊かにする事を認めず、少数派の文化や土地、命は犠牲にしても良しとするエゴを感じた。
一方、非常事態宣言直後にボランティアの医療従事者達が乗り込んだとか、全国のファヴェーラ組合がヤノマミ族への食糧確保に乗り出したといった報道には心が温まった。
鉱山動力省がヤノマミ族の居住地の一部に太陽光発電用のパネルとバッテリーを設置し、孤立集落も文明の恩恵にあずかれるようにした上、病人発生などの場合も含めた通信手段の確保のために5Gのインターネット導入の準備を進めているなど、ヤノマミ族の文化や土地、生活を脅かさずに生活の質を向上させられるような措置がとられ始めた事には安堵した。
文明の発展は地球温暖化などの引き金にもなったが、各自が持つ文化や価値観などを尊重し、持続可能性を考えながら技術や知識を適用すれば、少数派にも優しい政策、対策が可能なはずと考える。
国立インジオ保護財団(Funai)職員でもあった人権活動家のブルーノ・ペレイラ氏は、アマゾンの森や先住民の人権を守るために、ドローンやコンピューターを使って不法な活動を監視するシステムの使い方を先住民に教えたりもしていたが、その監視活動故に、同行していた英国人ジャーナリストのドム・フィリップス氏と共に命を奪われた。
他者を救い、守ろうとした人の命を奪う事や、不法採掘で私腹を肥やし、声も上げられない先住民の土地や文化、命を奪う事は犯罪行為に他ならない。犯罪が一掃され、文明の恩恵を受けた先住民達が先祖から受け継いできた土地や文化、命を謳歌する姿が見られる日を待ち望みたい。(み)