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北大河州で「政治的性暴力」確認=法相が見えない側面として言及

2023年3月23日

フラヴィオ・ジノ法相(Antonio Cruz/Agencia Brasil)
フラヴィオ・ジノ法相(Antonio Cruz/Agencia Brasil)

 北大河州での公共施設等連続襲撃事件発生から1週間以上が経過した。現地視察を行ったフラヴィオ・ジノ法相が「北大河州での危機には『見えない側面』がある」と全国会議の場で語ったと21日付アジェンシア・ブラジルが報じた。
 ジノ法相が参加したのは「治安と女性に対する暴力との戦いに関する全国会議」だ。同法相が現地で国家治安部隊の活動も視察したとの報道もあったため、「見えない側面」とは治安に関するものかと思ったが、記事を詳しく読んでみると「政治的性暴力」のことだった。
 ジノ法相は現地で、何十年も続く治安当局と犯罪組織との戦いの裏で、政治的な性暴力が起きていることを目の当たりにしたという。
 ジノ法相は、ファッチマ・ベゼラ北大河州知事や州の治安当局で働く女性達が参加する会議の場で、一人の女性議員から「危機の責任はお前にある」と書かれた携帯電話へのメッセージを見せられたという。メッセージには「夫の下着を家で洗っているはずのお前が、盗賊を助け、公共の場を不当に占有している」とも書かれていた。
 ジノ法相はこれにより、目に見える危機の根底にあるものに気づいたという。ブラジルでは公共政策実施に携わる女性に対して排除的かつ抑圧的な見方があり、日常的に行われるそうした女性否定こそが本当の危機であるとした。
 ジノ法相は前述のメッセージを見る前日にもソライア・トロニッケ上議(ウニオン)と会い、公的な場や指導的な立場にある女性の声を封じ込めようとする政治的性暴力について話し合い、政治的性暴力は従来のような名誉毀損罪だけでは扱えないことを認めている。20日には連警に対し、政治的性暴力も国レベルの犯罪として扱うよう指示したという。
 3月は国際女性月間であり、報道では従来は男性の仕事とされてきた職種や職場にも女性が進出している事例を紹介するものが増えている。今回の事件でも、ファッチマ北大河州知事は連続襲撃事件発生時、犯罪組織が関わる危機的状況と判断し、その日の内にブラジリアに赴き、国家治安部隊の派遣を要請するなど、男性政治家に劣らない素早い対応を見せた。
 女性の声がかき消されている現状を報じるニュースや、女性の業績や能力がきちんと評価されていなかったりする例、女性への暴力に関する報道を見るにつけ、他者との差を認め、他者を受け入れることが考えの幅を広げ、社会や文化を豊かにするということを広く世に再認識してもらいたいとの思いにも駆られる。(み)


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