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《記者コラム》乳がん患者包んだ愛の波=辛い治療乗り越えたビアンカさん

2023年6月8日

 5日朝、主人の診察に付き添って病院に行く途中、携帯電話で見つけた記事を読んで胸が熱くなった。
 それは、サンパウロ州海岸部グアルジャー市在住の数学教師ビアンカ・ドス・サントス・クラロさんの乳がんの化学療法最終日の出来事を記したものだった(1)
 「昨年の乳がん発見以来、1日を生きることの大切さを知ったが、それは決して簡単なことではなかった」と語るビアンカさんは32歳。幼い時に母親を同じ病で亡くしている。乳がん発見時は奈落の底に突き落とされた気分だったはずだ。
 ビアンカさんが最後の化学療法を受けるために家を出ると、そこには心身ともに負担の大きい化学療法を乗り越えたことを祝うために集まった友人らが、ピンク色の風船で飾った車8台を連ねて出迎えてくれていた。彼女は愛と前向きな考えに満たされたという。
 グアルジャー市から治療施設のあるサントス市まではフェリーも含めて約1時間かかる。その間、友人達や見知らぬ人達から祝福され、多くの愛情を受けとった。彼女の感動は、彼らの愛と信仰の言葉で増幅した。
 「信じられないほど大きく、説明のつかない愛の波に包まれた」という彼女は、「世界は失われていない。良い知らせを渇望している善良な人達がたくさんいる」と強く感じたという。
 また、治療施設に着いた時には、全階の職員が窓際に現れて、化学療法終了を喜んでくれた。治療室には励ましの言葉を書いたポスターも用意されていたという。
 化学療法は4カ月間に及んだが、彼女は常に周囲の人達からの心遣いを感じ、その度に強く励まされたという。化学療法中も、仕事やトレーニング、外出をしながら過ごし、辛い日より楽しい日の方が多かったと彼女は言う。
 そんな彼女も、次のステップへの不安は隠せずにいる。7月に手術を受けることになっているのだが、その結果次第で今後の治療方針が決まるのだ。
 ビアンカさんは化学療法開始前にも、乳がんとの戦いを応援する女性18人から、連帯を示すため、ピンクのリボンとハートを象ったタトゥーを入れたというサプライズメッセージを受けた。
 多くの人々からの愛を感じ、1日1日を精一杯生きる彼女の姿に励まされ、生きる喜びを感じる人達もまた多くいることだろう。(み)

(1)https://g1.globo.com/sp/santos-regiao/noticia/2023/06/05/carreata-atravessa-cidades-para-celebrar-ultima-quimioterapia-de-professora-com-cancer-em-sp-onda-de-amor-inexplicavel-video.ghtml


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