モジを「ラーメンの町」に!=ブームで日本製製麺機フル稼働(上)

サンパウロ市の東40キロにある人口45万人の中核都市モジ・ダス・クルーゼス市。「ここをラーメンの町にしたい」というシンプルな思いから、今年6月25日に同市のレオン・フェヘール公園で「第1回ラーメン祭り」が開催された。主催者は同市内に本社を置くMNプロポリス社だ。
一日で1万人が来場し、6時間でしょうゆ味と味噌味の2種類1千食が完売した。行列で食べられなかった人も現れ、「来年は1500食を用意する」と、同社の和田カルロス社長は気合を入れる。
ラーメン祭りの発案者は同社の松田典仁代表取締役会長(86、群馬県)だ。経営の第一線から退いたとはいえ、自社のプロポリスの効能を自らの体で証明するかのようにかくしゃくとしており、「85歳までの人生設計しかしていなかったのに、寿命が延びて90歳まで人生計画を作り直した」と新たな夢が今も湧き出している。
松田さんの細胞を活性化させているのは、プロポリスだけではない。近年の伯国のラーメンブームで、同社が製造するラーメンの麺の注文が増え続けていることも活力の源となっている。

ラーメンの麺の年間販売数は、年末には昨年比150%を超える見通しだ。11月には新しい製麺機も日本から到着し、2台をフル稼働させて1日1万5千食の増産に努める。
去年までは、販売を始めてから毎年20%ほどの販売増加率だったが、去年から今年にかけては毎月10件以上の新規注文が入り、嬉しい悲鳴を上げている。
厳選素材のラーメンがサンパウロの半額
「皆さん、おいしいと言ってくれるのですが、実は最初に値段の事ばかり言われます」と笑う松田さん。
モジ市内で2012年にMNプロポリス社がオープンしたラーメン店が「MNラーメン」である。現在、月に約6千食のラーメンが売れている。
オープン当初から自家製麺と化学調味料不使用のスープにこだわり、「おいしく、こくがあり、体に優しいラーメン」をモットーに提供してきた。
味が良いのは当然ながら、サンパウロ市内のラーメン店に比べてほぼ半額の価格のメニューを見ると、確かに一瞬目を疑ってしまう。
同社が2008年に子会社MNフード社を立ち上げるのと同時に、「これからはブラジルにもラーメンブームが来る」と見越した松田さんは、食品工学出身の担当者を日本のラーメン学校へ研修に送って準備を進め、「MNラーメン」をオープンした。
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顧客には無料で秘伝レシピを伝授
ラーメンブームに合わせて麺の注文が相次ぎ、現在同社は、日系人の暮らすブラジル全土の主要都市の飲食店やイベント出展者など、200以上の取引先を持つ。業界紙に出した広告を見て注文を受けることも多い。
「最初に試食として40玉を渡すといつも皆さん驚かれます」と話す松田さん。
顧客となった飲食業者に、同店の秘伝レシピを惜しみなく伝授していることに関し、「実は社内から『企業秘密にするように』とも言われるのですが」と苦笑する。
しかし、松田さんとしては「自慢の味だからこそ広がってほしい」と願い、敢えて伝授する方針を貫いている。(続く/取材:大浦智子)