ふるさと巡り=北東伯の日系社会訪ねて(1)=大河の恵みで潤う農家ら=115人が元気に交流

朝5時半のサンパウロ州グアルーリョス空港のターミナル2。「元気にしてた?」「まだ生きてたのね!」。人で込み合うブラジルの空港の中で、元気な日本語が聞こえてくる。3月18日から26日、ブラジル日本都道府県人会連合会(市川利雄会長)による「第55回ふるさと巡り」(谷口ジョゼ団長)が行われた。
今回のふるさと巡りはグループ1~3に分かれて行われ、全グループ共通で、ブラジル北東部ペルナンブコ州ペトロリーナ市、バイア州ジュアゼイロ市の観光地と現地日本人会館を訪ねた。
日数が多いグループ2と3は、この他に、ピアウイ州サンライムンド・ノナット市や世界遺産登録されているセーラ・ダ・カピヴァラ国立公園なども訪ねた。
今回は総勢115人が参加。平均年齢75~80歳のベテラン参加者たちからは「行ったことがないところに行けるから楽しみにしていた」との声が多く上がった。
今回、本紙記者が同行取材したのはグループ1のため、本連載はグループ1の旅程について綴っていく。
集合場所となった空港では、旅慣れしている人もいれば、普段、子どもや孫任せで搭乗手続きに不慣れな人もいて、飛行機搭乗直前には、航空券を失くして大慌てする場面も見られた。航空券を失くした参加者にガイドと勘違いされていた記者は、一緒に鞄の中を探し、無事、航空券を見つけ出し、無事に第1グループ参加者全44人と共にブラジル北東部へ飛び立った。
飛行機がペトロリーナ空港に到着し、地上に降りると、トロピカルな気候が一向を出迎えた。ソブラジンニョ水力発電所ダム市に向かうためのバスに乗り、揺られていると、まるで海のような景色が見えてきた。北東伯なのでとっさに「海だ!」と興奮したが、それは海ではなく巨大な河だった。
バスの窓一面に広がる大河はサンフランシスコ河。チーズで有名なミナス・ジェライス州セーハ・カナストラ山脈を越え、バイア州とペルナンブコ州を流れる。
バイア州とペルナンブコ州の州境界のこの地は降水量が少なく、湿度が低い乾燥地帯だが、サンフランシスコ河の恩恵により、現在はぶどうやマンゴーなどが多く生産されている。これらの果物は伯国内ではなく、ヨーロッパやアメリカに輸出され、ブラジル経済の一翼を大きく担っている。
1960年代、この地で果物栽培の先駆けとなったのは、アチバイアから入植した日系人のメロン栽培といわれている。その為、ジュアゼイロ市やペトロリーナ市での果物生産には日系人や日本人が多く携わっている。
[gallery columns="2" link="file" td_select_gallery_slide="slide" ids="417645,417646"]
一向はバスから船に乗り換え、先発組のグループ2、3と合流し、船上で早速、北東部の昼食を食した。サンパウロでは滅多に食べる機会のない地元魚料理とフェイジョア・テンペイロにがぶりつき、最初のブラジル北東部を味わった。(続く、島田莉奈記者)