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聖南西ピエダーデ農家巡り=(3)アルカショフラの豊村農場=〝高級野菜〟を山盛り堪能

2024年11月13日

アルカショフラの広大な畑と豊村さん
アルカショフラの広大な畑と豊村さん

 1961年にあるぜんちな丸で、長崎県佐世保市から一家でやってきた豊村信二郎さん(73歳)。10歳の時にサントスに着いたそうだ。その後、43歳の時からアルカショフラ(アーティチョーク)作り一筋30年、今では息子さんと作り続けている。
 アルカショフラは、日本では「高級イタリア野菜」として知られており、生のアルカショフラは、高級食材店や産直通販ぐらいでしか手に入らない。たとえば楽天市場(https://item.rakuten.co.jp/tokyo468syokuzai/vege-italia0016/)では「1個(約150~250g、単価730円/100g)で売られている。たった一つで1600円もし、送料込みだと約2600円(97レアル)にもなる。ブラジルでも、NTURAL DA TERRAなどの高級スーパーでさえ、一つ350円前後で、フェイラと呼ばれる青空市場ではもっと安く手に入る。
 その高級野菜の樹が、11ヘクタールに8万本以上の植えられており、アザミの葉の形状によく似た巨大な葉っぱが畑を埋め尽くしている。農場を視察した清水サンパウロ総領事も、「ここにあるアルカショフラを全部日本で売ったら、豊村さんは億万長者になれますよ」と冗談めかしながら驚いていた。

2種類のアルカショフラ
2種類のアルカショフラ

 豊村さんは「アルカショフラの花は紫なので、咲くとアザミにそっくりですよ」と言う。家族のほかに5人ほど従業員を雇っている。広大な面積をそれだけの人数で育てられるのは、ドローンを活用しているからだそうだ。
 一緒に見学に行った近隣農家の益田さんが、「水はある?」と聞くと、「今年は雨が降らなかったから本当にないのよ。だからね、となりの人のところに川が流れていて、それを融通してくれてなんとかなった。水がなかったら育てられない」と、天候に左右される農業の厳しさを垣間見せた。
 豊村さんのところでは、2種類のアルカショフラを育てており、ガクが開いている品種と、丸いタイプの品種がある。丸いほうは、袋かけする必要がないので手間がかからず、実も大きい。難を言えば病気に弱く、雨が3日ほど続いたら60~70%は腐ってしまうそうだ。値段もガクのタイプよりも安い。
 ガクが開いている品種のほうを多く育てているというのも合点がいったが、息子さんが丸いタイプの生産を増やそうとしているという。一年中出荷できるのがその理由だそう。今年のように、雨が少ない年は、丸いタイプのほうを多く作ったほうが収益は多くなる。天候を味方に付けられるか否かが成功のカギだ。

アルカショフラのパステウとサラダ
アルカショフラのパステウとサラダ

 キッチンに行くと、アルカショフラのサラダと、それを一杯に詰めたパステウをごちそうしてくれた。アルカショフラの可食部はとても少ないので、山盛りのアルカショフラのサラダという、日本ではありえない、生産地ならでは贅沢な食べ方に舌鼓をうたせていただいた。(つづく、麻生公子記者)


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