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外国人就労者に人気上昇中の町=「滋賀県湖南市へようこそ!」=(4)=周囲の人々に支えられて

2025年2月18日

インフィニティ・グループの関係者たちと上森氏
インフィニティ・グループの関係者たちと上森氏

 インフィニティ・グループは、労働派遣業をはじめ、ITシステム開発や新人社員研修など、複数の関連企業を立ち上げ、地域社会や派遣業界で存在感を示しながら、グローバルな視点で事業を拡大している。
 同社の現在の派遣社員数は約300人だが、2017年にはサンパウロにもブラジル支社を設け、出発時点から同社に派遣できるようにした。2018年には400人を突破し、派遣先企業は55社となり、業界内でもその存在感を高めていた。労働派遣業界の知人から「さらなる事業拡大を」と、ベトナムやインドネシアなどへの視察を勧められることもあったが、上森氏はこれに対して明確な方針を持つ。
 「言葉や文化の壁は、平穏な時には和気あいあいと過ごせる。しかし、大きな問題が発生した際には、それを収めるのは容易ではない。どんな事態が起きても最終的に全責任を持てるという自信があるのは、ブラジルや中南米出身のスタッフに限られる」と語る。この信念に基づき、インフィニティ・グループでは採用方針を一貫して守り、「スタッフを家族」として信頼関係を築きながら事業を進めている。

インフィニティ・グループのメンバーで参加した「くさつランフェスティバル」
インフィニティ・グループのメンバーで参加した「くさつランフェスティバル」

 「スタッフは家族」という思いを一層強くしたのは、創業翌年の2008年夏、リーマンショックの時期である。派遣先企業が3社という状況下で、派遣切りが相次ぎ、同業他社が次々と倒産に追い込まれた。当時、「子どもが2人いるから派遣先を紹介してほしい」と頼まれることがあった。同じ父親として心が痛む思いをしたが、本当に仕事がなく、友人を助けられない悔しさを味わった。しかし、懇意にしていた会社社長が雇用を守り、仕事量は減少したものの、スタッフが切られる事態は少なかった。

日本で生きる中南米育ちの妻と2人の娘が心の支えだった上森氏
日本で生きる中南米育ちの妻と2人の娘が心の支えだった上森氏

 大小の派遣会社が競争する中で、起業したばかりの会社を選んでくれた社長の心遣いは嬉しく、「頑張らなければ」と熱い思いがこみ上げた。早朝から深夜まで、誘われればどんな集会にも顔を出し、名刺を配り続けた。ひたすら営業を続けて3年、ある日、リーマンショックの時期にも残業している会社があると聞きつけ、問い合わせたところ、工場長が会ってくれた。そして「一人連れてきてほしい」と言われた。先の友人を派遣すると、その仕事ぶりが評価され、さらに20人のスタッフを受け入れてもらえるようになった。
 仕事を求めて面接に来てくれた人たちに派遣先を紹介できなければ、他社へ流れてしまう。それでも「逆に燃えるくらい」の気持ちで、何度も必死に派遣受け入れをお願いした。「こんなに熱心な社長は見たことがない」と、その情熱に心を動かされた工場長たちが、他社を積極的に紹介してくれるようになり、その結果、派遣先が少しずつ増えていった。(つづく、取材=大浦智子)


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