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SNSで子どもの性的搾取=50%関税背景に規制強化へ

2025年8月14日

万華鏡2
SNS上で子どもたちの安全確保が課題となっている(Foto: © Bruno Peres/Agência Brasil)

 【既報関連】SNS上での子どもの露出や性的搾取が社会問題化する中、専門家らは「子どもは商品ではない」と警鐘を鳴らし、プラットフォーム規制の必要性を訴えている。アルゴリズム(ユーザーの関心事項を察知して情報を優先的に見せる仕組み)が問題のあるコンテンツ拡散を助長する構造に批判が集まる中、ルーラ大統領はこれに対応するSNS規制法案を連邦議会に提出する意向を示したと13日付アジェンシア・ブラジルなど(1)(2)が報じた。

 12日付ロイター通信の記事(3)によれば、ルーラ大統領はSNS規制法案が完成し、議会に提出される準備が整ったと発表した。問題とされているSNSプラットフォームは米国企業であり、同記事では、1日から始まったトランプ米大統領によるブラジル製品への50%関税が背景にあることが示唆されていた。

 未成年の性的イメージが拡散されている実態は、500万人以上のフォロワーを持つインフルエンサー、フェルカ・ブレス氏の告発で可視化された。同氏は肌の露出が多い服装で踊ったり、性的話題を扱ったりする未成年の映像を公開する大規模アカウントの存在、そのコンテンツをプラットフォームのアルゴリズムが拡散している実態を告発するユーチューブ動画(https://youtu.be/FpsCzFGL1LE)を7日に公開。この動画は6日間で3700万回再生された。

 同氏がインスタグラム上で行った実験では、新たに作成したアカウントで未成年の性的な写真に次々と「いいね」を押し続けたところ、アルゴリズムはすぐに同様のコンテンツを優先的に表示するよう変化。これにより、ペドフィリア(小児性愛障害)などの不適切な利用者同士を結びつける構造があることを明らかにした。

 専門家はテクノロジー企業への明確な規制が不可欠だと主張。アラナ研究所のデジタル教育専門家で心理学者のロドリゴ・ネイン氏は「プラットフォームには商業利用の限界が必要。子供たちを無配慮に露出させるのはビジネスモデルとして許されない」と述べ、「子どもを商業的な商品として扱うことは許されない」と強調した。

 ネイン氏はSNSの構造が収益と露出を直結させ、家族や子ども自身による過剰な公開を促していると警告。「より過激・性的・衝撃的な内容ほど拡散され、投稿者とプラットフォーム企業に利益が生まれる。この構造が搾取を再生産している」と説明した。

 問題の根底には「成人化(アダルチザソン)」現象があり、子どもが大人向けの行動や期待に早期に晒されることを指す。リオ連邦大のNetlab責任者デボラ・サレス氏は、SNSに投稿された子どもの画像や動画は犯罪に悪用される恐れがあり、「多くの親はSNSを安全と誤認し、無意識に危険な露出を助長している」と注意を促した。

 遊びや水着姿の写真も犯罪に利用されかねないと警鐘を鳴らし、技術的規制だけでなく、家庭内での監視・教育の必要性を強調し、「公園に子どもを一人で放置しないのと同様に、SNSでも子どもの行動や交流を見守ることが不可欠」と述べた。

 SNSの到達困難な美的・社会基準は子どもに不必要な比較や自己否定を生み、心理・身体面に影響を及ぼす。心理学者チアゴ・ジアコメッチ氏は「自己認識や他者理解は幼少期に形成され、ネット上の裁判に晒されることは人格発達や社会適応に深刻な影響を与える」と話す。

 こうした状況を受け、政府および立法府も対策に乗り出した。連邦下院ではSNSにおける子どもの「成人化」への対策を目的とした法案を作成するための作業部会が設置され、30日以内に草案をまとめる見通しだ。

 SNSが子どもの成長と安全に与える影響が明らかになる中、米国のプラットフォーム企業の責任、法的枠組み、家庭での教育監督の3点が喫緊の課題として浮上している。


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