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ブラジル人の中国製品評価急上昇=移住希望先は米国が圧倒的

2025年9月10日

万華鏡2
米中国旗(画像出典:photoAC)

 市場調査会社Nexusの最新調査によれば、電子機器や自動車、人工知能(AI)分野で、ブラジル人は米国よりも中国を高く評価する傾向を強めている。イノベーションの象徴として台頭する中国に対し、米国は宇宙開発や文化などで優位を維持しており、テクノロジーとソフトパワーを巡る認識の分裂が鮮明になった。一方、移住希望先は米国が依然として圧倒的な支持を集めており、製品選好と生活志向との乖離も浮き彫りとなったと3日付エザメ誌(1)(2)などが報じた。

 同調査は、8月15〜19日に全国の2005人を対象に実施されたもので、信頼度は95%、統計上の誤差は上下2%ポイントだ。

 調査結果によれば、ブラジルにおける中国のイメージは、これまでの「安価な大量生産の象徴」から脱し、技術革新と先進性を体現する存在へと移行しつつある。

 電子機器の分野では、ブラジル人の62%が中国製の携帯電話やパソコンを好むと回答。米国製を選んだのは30%。16〜24歳の若年層ではその傾向がさらに強く、64%が中国製を支持。地域別では、北東部で中国製支持が7割に達し、コストパフォーマンスと革新性を兼ね備えた中国製品の評価が定着していることを示している。

 調査で明らかになったのは、ブラジル市場において価格だけでなく、品質やアップデートの頻度といった面でも中国製品が高く評価されていることだ。スマートフォンやパソコンにおける中国の技術的リーダーシップは、ブラジル人の間で確かな印象として根付いている。

 自動車分野においては中国が47%、米国が40%と拮抗した状況が見られるものの、南部では中国車が52%の支持を得ており、接続性や搭載技術といった点での優位性が評価されている。

 一方で、高所得層や高学歴層では、ブランドの歴史やアフターサービス、ピックアップトラックやSUVといった製品ラインの厚みから米国車への支持が依然として根強い。

 ブラジル世論の技術革新とAIの分野では、中国が米国を凌駕しているとの認識が広がっている。調査では67%が「中国の方が米国よりも技術革新においては優れている」と回答し、米国を支持したのは26%にとどまった。AIにおいても、中国に対する支持は59%、米国は31%と差は明確だ。北部および中西部の地域や若年層では、この傾向がさらに顕著だ。

 今回の調査にコメントした専門家らは、スマートフォンや電気自動車、さらにはAIを活用したサービスに至るまで、ブラジル人が中国を技術革新の迅速なサイクルを実現している国と捉えていると分析。こうした認識が、中国に対する技術的リーダーシップの評価を一層強める要因となっている。

 一方で、米国の影響力が色濃く残る分野も存在する。宇宙開発では、ブラジル人の59%が「米国の方が中国よりも進んでいる」と回答し、中国を支持する層は28%にとどまった。この傾向は高所得層や高学歴層でより顕著だ。

 ファッション分野では、米国製の衣料を好む層が46%を占め、中国製を支持するのは41%にとどまった。文化面でも、47%が米国文化に共感を示し、中国文化への親近感を示したのは42%だった。

 ブラジル世論においては、中国がテクノロジーや製品分野で実利的影響力を強める一方、米国はソフトパワーの象徴である文化や価値観を通じて根強い支持を得ている。

 他方、「もし移住できるとしたらどこに住みたいか」という問いに対しては、61%が米国を選び、中国を選んだのはわずか25%だった。言語、文化、キャリア機会、収入水準といった要素が、この結果に大きく影響しているようだ。特に16〜24歳の若年層では70%が米国移住を希望し、中国を選んだのは24%にとどまった。電子機器分野で中国製品が高く評価されている北東部においても、52%が米国を選び、中国は32%だった。

 この結果は、ブラジル市場において中国が「選ばれる製品」の代名詞となっている一方で、米国は「将来、目指す場所」としての地位を維持していることを示している。製品への評価と人生設計としての志向が一致しないこの構造は、企業や政府、戦略立案者にとって無視できない要素であり、購買行動に基づく短期的な戦略と、ブランドや国家イメージの長期的な形成とを切り分けて捉える視点が、一層重要性を増している。


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