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在宅勤務者1千人解雇で波紋=勤務中4時間パソコン操作なし?!

2025年9月11日

万華鏡1
イタウー銀行支店(Foto: Divulgação)

 大手金融機関のイタウー銀行が、従業員の業務活動を詳細に監視する新システムを導入し、その分析結果をもとに約1千人の在宅勤務者を一斉解雇したことが明らかになった。勤怠記録と実際の業務内容の不一致を理由とするこの大量解雇は、社会的な関心を呼んでおり、解雇の正当性や監視の透明性を巡って議論が広がっていると9日付ヴァロール紙など(1)(2)が報じた。

 この監視システムは、従業員のパソコン使用時間やクリック数、利用アプリケーションなどを詳細に記録、分析することで、生産性を向上させることが目的だ。監視自体は合法だが、ブラジルの一般データ保護法(LGPD)では、収集データの内容、目的、処理方法について従業員への事前通知が義務付けられている。

 イタウー銀行は具体的にどのシステムを使用しているか明かしていないが、関係者によれば、従業員が使用する銀行の端末や関連システム上の活動をモニタリングした上で、パソコンのメモリ使用状況、クリック数、ブラウザのタブ開閉、システム上のタスク登録や問い合わせ作成などで、生産性を評価しているという。

 同行は、パソコンの使用履歴と勤怠システムに登録された労働時間を比較し、不一致を確認した従業員については、理由も確認せずに解雇、または注意処分を行ったという。

 監視システムの一例である「XOne」は、パソコンの利用状況を詳細に記録し、「デジタル行動評価」と呼ばれるスコアで生産性を支援する機能を備える。特にインターネット利用に関しては、「ナビゲーション逸脱」と呼ばれる指標が設けられており、業務生産性を損なう可能性のあるサイトへのアクセス回数を計測。開発元のArctica社によると、同システムを導入した企業の約80%が即時の効果を実感し、生産性は30%向上、業務コストは25%削減され、人員削減にも寄与しているという。

 米Teramind社も類似のソリューションを提供しており、人工知能によって収集データから従業員の行動傾向を分析するシステムを搭載。同社データによると、システムを導入した企業の約7%の従業員が、ソフトウェアやハードウェアを用いて勤務活動を偽装していたという。

 画面録画機能を備え、監視逃れの行為を検知するシステムも存在し、こうした監視システムは「従業員の過労状態(バーンアウト)防止に寄与する」と一部企業は主張している。

 イタウー銀行は今回の解雇について具体的な人数を明かしていないが、「リモートワークに関連した勤務態度や勤怠記録の厳格な見直しによるもの」だと説明。「当行の揺るぎない信頼の原則と相容れない行動パターンが一部で確認された」とし、「この判断は責任ある管理の一環であり、顧客や従業員、社会との信頼関係を守るためのもの」と強調した。

 一方、銀行労働組合側は、解雇に際して同行が事前の警告や従業員との対話を一切行わなかった点を強く批判。組合幹部で同行従業員のマイコン・アッジ氏は「銀行による大量解雇は、従業員および組合の双方にとって寝耳に水。銀行は、社用端末に記録された非稼働記録を根拠に解雇を決定したが、中には勤務時間中に4時間以上、パソコン上での操作が一切確認されなかったケースもあり、システムトラブルの可能性も否定できない」と指摘。「こうした基準は極めて疑わしく、リモート下における銀行業務の複雑さや技術的な不具合、健康上の問題、過重労働、チームごとの業務運営の違いといった事情が考慮されていない」と述べた。組合は現在、銀行に対し、さらなる説明を求めている。

 イタウー銀行はブラジル最大の民間銀行で、今年第2四半期には115億レアルの純利益を計上。同行の公式ウェブサイトによれば、従業員数は約9万6千人とされるが、労働組合の発表によると、過去12カ月間で518人が削減され、現在の実際の従業員数は約8万5千人に減少しているという。

 一方で、解雇された一部従業員は解雇理由を否定し、多くが高評価を受け、昇進歴もあると主張。解雇に至った監視データの具体的な指標については銀行側からの提示がなかったと述べている。

 ただし、勤務時間中に実際に業務に従事していなかった同僚が解雇されたケースも挙げられ、一連の解雇措置に一定の正当性があったと見る向きもある。


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