10月にサンパウロ市美食フェス開催=有名店の人気料理が一堂に

サンパウロ市を代表する美食フェスティバル「第3回SPガストロノミア」が、サンパウロ市西部のヴィラ・ロボス公園で10月に開催される。同イベントは、ピニェイロス、ジャルジンス、パライーゾ、レプブリカなどの市内各地区の多様な食文化を〝味覚による巡礼〟として体験できる試みで、著名シェフや人気レストランが一堂に会する。10月10〜12日、および17〜19日の6日間の会期中は、食を通じてサンパウロ市の地域的多様性と創造性に触れる貴重な機会となる見通しだと16日付ヴァロール紙(1)が報じた。

出展する飲食店の多くが集中する西部地区は、革新的な食文化の発信地で、文化的多様性と飲食産業の活発さで広く知られる。ピニェイロスの「Make Hommus. Not War」は、ヒヨコ豆を原料とするアラブ系ペースト「フムス」料理を専門とし、宅配専門として創業。22年にイートイン可能な実店舗をオスカル・フレイレ街にオープンした。
同地区発の「Frida & Mina」は13年創業。手作りアイスクリームやコーン、クッキー、イタリアの定番デザートであるアフォガートなどで市民の支持を集めてきた。
イタイン・ビビ地区からは「Osso」が出展。ペルー人シェフの指導のもと、温度・湿度・換気が管理された環境で肉を熟成させるドライエイジング手法により、柔らかく、味も濃縮された肉料理を提供する。
ヴィラ・マダレナ地区からはベジタリアンレストラン「Quincho」も参加。蒸し、揚げ、グリル、ローストなど多様な調理法で、野菜の持ち味を引き出す。
世界各国の料理も充実している。ジャルジン・パウリスターノ地区の「Tasca da Esquina」は、ポルトガル人シェフによる店舗で、ブラジルでも本国リスボン同様にモダンなポルトガル料理を提供。ヴィラ・レオポルディーナのグランド・ハイアット・サンパウロは、同ホテル内レストラン「Cittadino」から、イタリア料理の本質とサンパウロ市の個性を融合させた創作メニューを出品する。
和食「藍染」は07年にジャルジンス地区で開業。19年にはベラ・ヴィスタ地区のジャパン・ハウス内に第2店舗を展開した。シェフの白石テルマ氏の監修のもと、寿司職人らが旬の海産物や農産物を用い、小規模生産者との連携による独自メニューを提供。
市セントロの歴史地区からは「A Casa do Porco」や「Koya88」が参加。「A Casa do Porco」は豚肉料理を主軸に、アラカルトとテイスティングメニュー「Interior」の二本柱で展開。20年以降は、持続可能性への取り組みが評価され、ミシュラン・グリーンスターを獲得しているほか、「世界のベストレストラン50」でも83位にランクインしている。
一方「Koya88」は和食居酒屋の形式に着想を得つつ、〝自由なバー〟として位置づけられており、シェフのチアゴ・マエダ氏が、餃子の再構築や新鮮な魚介類による創作メニューを手がける。
パライーゾ地区からは「Amay Patisserie」と「Jiquitaia」が参加。「Amay Patisserie」はル・コルドン・ブルーで研鑽を積んだアヤ・タマキ氏が手がける店舗。国内で唯一、日本風洋菓子を完全グルテンフリーで提供。ヴィーガン、無糖、無乳製品にも対応し、ピニェイロスにも支店を展開。「Jiquitaia」は豚肉やトウモロコシ、豆類、唐辛子、ファロファ、クスクスなど、農村的な素材を生かしたブラジル料理を提供する。
北部地区から唯一出展する「Mocotó」は、ヴィラ・メデイロスに本店を構え、ブラジル北東地域の内陸部、セルトン地方の食文化を再解釈した料理を展開。タピオカとチーズの前菜「ダジーニョス・デ・タピオカ」や、ビーガン対応の「ムケッカ・セルタネージャ」などが人気を博している。
レストラン以外では、高品質な精肉製品のブランド「Maturatta」と、加工肉を手がける「Forneria Ceratti」も参加し、食材面でもイベントの幅を広げる。
入場チケットは既にオンラインで販売中、価格は38・50〜77レアル。詳細は公式サイト(https://oglobo.globo.com/projetos/spgastronomia/)へ。