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暴かれたCVの恐怖支配=暴力と警察癒着が明らかに

2025年11月1日

万華鏡1
CV構成員(上から時計回りにドッカ、バフォ、BMW、ガデルナル)(10月31日付CNNブラジルの記事の一部)

リオ市北部のアレモン、ペーニャ両地区の複合ファヴェーラ(スラム街)で10月28日に行われた警察の大規模掃討作戦により、警官4人を含む121人が死亡した。同作戦は、地域社会を掌握してきた麻薬組織コマンド・ヴェルメーリョ(CV)の組織を壊滅させることを目的に、告訴状や捜査資料を根拠として実施された。WhatsAppでの通信記録や動画などの捜査資料から、CV指導者による住民に対する拷問や殺害、子どもを含む若年層への銃器訓練、巧妙な資金運用や警察関係者との癒着といった多層的手法が明らかになったと10月30日付CNNブラジルなど(1)(2)(3)(4)(5)が報じた。

CV組織は階層的で、ボス、管理者層、末端構成員に分類される。捜査によるとペーニャ地区における最高位のリーダーはエジガル・アルヴェス・デ・アンドラーデ(ドッカ)で、その下のジュアン・ブレーノ・マルタ・ラモス(BMW)、カルロス・コスタ・ネヴェス(ガデルナル)、ファグネル・カンポス・マリーニョ(バフォ)らが暴力行為や資金運用を担当。ドッカはWhatsAppのグループを用いて拷問や殺害の指令を伝え、地域の監視体制や警備の割り当ても管理していたとされる。

BMWは、麻薬や資金の流通管理責任者と同時に、暗殺部隊「グルーポ・ソンブラ」の指導者。検察によれば、BMWは組織の資金を用いて高威力銃器を購入し、監視カメラを複数設置して地域を監視。若年層に対して自動小銃の取り扱い訓練を実施し、組織の次世代メンバーの育成にも深く関与した。訓練はファヴェーラの高台で行われ、BMW自身が指導に立つ場面が動画で確認されている。

拷問や懲罰もCVの支配維持の手段の一つ。住民に対する暴力は動画で記録され、場合によっては遠隔で指示を出す形で行われた。ある記録では、住民がファヴェーラの通りで手錠と口枷をされたまま車で数分間引きずられ、恐怖の中で加害者であるBMWの名前を呼ぶ様子が確認される一方、BMWは笑いながら被害者の苦痛を嘲笑していた。女性住民に対しては氷水の浴槽に押し込む拷問や、見せしめ的暴行も行われた。これらは、暴力を通じて地域住民に恐怖を植え付け、組織への従属を強制する目的があったとされる。

ガデルナルは、ジャカレパグア地区でのCV拡張を担当し、資金管理と武器調達、監視ドローンの運用にも関与。盗難車の転売で利益を得る一方、若年層を犯罪活動に巻き込み、学校周辺でも違法行為を行わせていた。彼の指示のもと、末端構成員は売人の行動や販売ポイントを監視し、反抗的な者には懲罰や殺害を行った。WhatsAppの通信記録には、ガデルナルが末端構成員に対し「全員の目の前で奴(反抗的な売人)を始末しろ」という命令が残されており、これによりCVは組織内外に絶対的な権力を示す手段として暴力を体系化していた。

バフォは、住民への暴力の実行部隊として活動していた。検察の記録によれば、彼は拷問や懲罰的な殺害に直接関与し、被害者に対して「早く死にたいか」と問いかけるなど、精神的・肉体的苦痛を意図的に与える残虐行為を行っていた。組織内では拷問の対象者や手順がWhatsAppで共有され、複数の構成員が連携して同時に暴行や処罰を実施するケースも確認されている。

CVは、組織の利権維持のために警察関係者とも密接に連携。軍警少佐がガデルナルに連絡を取り、盗難車の回収を依頼する場面や、BMWが軍警に賄賂を支払い、若年構成員を解放させるやり取りも記録されている。組織はこのような外部との協力関係を利用し、地域支配をより盤石にしていた。

今回の大規模掃討作戦は、CVの組織力と暴力性を初めて大規模に可視化する契機となった。しかし、専門家は、掃討作戦によって一時的に制圧されても、地域に根付く恐怖と支配構造は容易には消えず、住民の安全と日常を取り戻すには長期的かつ継続的な取り組みが不可欠だと指摘している。


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