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連邦下院UFO公聴会で波紋=軍が隠蔽⁉︎バルジーニャ事件

2025年9月18日

ET記念館サイト
ET記念館サイト(memorialdoet.com.br/)

1996年、ブラジル南東部ミナス・ジェライス州バルジーニャ市で目撃された〝赤い目を持つ謎の生物〟と、それを極秘に回収したとされる陸軍の動き――一度は都市伝説として片付けられた「バルジーニャ事件」が16日、連邦下院の公聴会で正式に取り上げられた。未解決のこの事案をめぐり、政府関係者と専門家が公式の場で初めて対峙し、再び国内外の注目を集めていると同日付のCNNブラジルなど(1)(2)(3)が報じている。

左派の社会主義自由党(PSOL)所属のシコ・アレンカール下議が主催した同公聴会は、未確認飛行物体(UFO)全般に関するものであり、その中でも特にバルジーニャ事件に関して熱い議論が交わされた。

事件が世間の注目を浴びたのは、96年に3人の女性が「赤い目と角を持つ生物を見た」と告白したことがきっかけだった。この話題は瞬く間に拡散し、バルジーニャは「宇宙人の首都」として知られるようになり、記念碑の建設にまで至った。

この事件に詳しいUFO専門誌「UFO」の顧問、ヴィトリオ・パカッチーニ氏は、事件当時、単一の存在ではなく、少なくとも5体の未知の生物が軍の強力な支援下で秘密裏に捕獲されたと証言した。彼はさらに、国内の独立機関「未確認飛行物体民間調査センター(CICOANI)」における自身の活動を踏まえ、バルジーニャ市は「世界最大のUFO事件の舞台」と位置付けている。

パカッチーニ氏は、軍が事件の情報を戦略的に操作し、世間の調査や関心を「滑稽なもの」に仕立て上げ、信頼性を損ねることを目的としていたと強調。「バルジーニャで起きたことは前例がなく、国家的な論争を生んだ。その背景には、軍が意図的に情報を隠蔽し、疑念を払拭するどころか、事案そのものを嘲笑の的に変えたという事実がある」と述べた。

隣接するトレス・コラソンエス市にある陸軍下士官養成学校(ESA)も事件と密接に関係していると指摘。同氏は、軍の大規模かつ秘密主義的な作戦展開は「単なる変わった犬や猫を捕獲するためのものではない」と断言し、「軍がトレス・コラソンエスから秘密裏に部隊を派遣し、バルジーニャに入り、市長や議会関係者に一切知らせずに、大規模な国家安全保障作戦を行った。彼らが確信していたのは、そこに存在する生物が間違いなく地球外生命体であるということだ」と述べた。

だが、この事件に関する映像や写真といった直接的な物的証拠は一切公表されておらず、これまでの報告書は主に目撃者の証言のみに基づいて構成されている。

アレンカール下議は、今回の議論が情報公開法(LAI)や国家主権の観点からも重要であるとし、「未確認飛行物体に対する人類の好奇心は世界中で非常に強い。これは文化や心、思考に深く根差している。疑問を抱くすべての要素が厳重に秘密にされることで、その神秘性がさらなる関心を呼んでいる」と述べた。

公聴会の終盤には、テーマそのものに対する抗議の声も上がった。ブラジル自由運動(MBL)所属のヴィットル・ラテス氏は、アルミホイルで作ったお手製の帽子を身につけて登場し、「この公聴会の本質を象徴する意図でアルミホイルの帽子をかぶっているが、むしろ道化師の帽子の方がふさわしかった」と発言。公聴会を茶番と断じ、痛烈に皮肉った。

なお、90年代の目撃情報をテーマとしたバルジーニャ市の「ET記念館」(Memorial do ET Rua Maria Paiva Pinto, 105, no alto da Vila Paiva, Varginha)は22年に開館し、プラネタリウムや関連映像の上映、観光・商業局の本部機能を兼ねている。

 研究者ヴィトーリオ・パカッチーニの同名著書に着想を得た長編映画「ヴァルジーニャ事件」(ファビオ・ラマーリョ監督)の制作も進んでいる。製作費は推定1千万レアル、26年1月に公開予定。

本件について、CNNブラジルはブラジル陸軍に問い合わせたが、現時点で回答は得られていない。


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