サンパウロ市の春を彩る文化祭典=ビエンナーレ&独ビール祭

サンパウロ市では大型文化イベントが相次いで開催されている。南米最大級の現代美術展「第36回サンパウロ・ビエンナーレ」が6日から、また「第14回サンパウロ国際建築ビエンナーレ」が18〜19日に、いずれもイビラプエラ公園内で開催される。一方、ドイツ発祥のビール祭「サンパウロ・オクトーバーフェスト」も、19日から市西部で開催される予定。アートと食、音楽が交錯するこの期間、サンパウロ市は文化的多様性と国際性を改めて際立たせていると6日付アジェンシア・ブラジルなど(1)(2)(3)が報じた。
125組のアーティストの作品が一堂に会する「サンパウロ・ビエンナーレ」は、同公園内のシッシロ・マタラッツォ館で来年1月11まで開催され、入場無料。展示空間は、ブラジル人作家コンセイソン・エヴァリストの詩「静けさと沈黙」に着想を得て構成され、共同キュレーターのチアゴ・デ・パウラ氏は「積極的な傾聴、出会い、交渉、尊重」という価値観を現代美術の根幹に据えていると説明。
来場者は、多様な文化や歴史の声、記憶、身体表現が交差し、融合する「境界の往来」を体験することになる。目を引く作品の一つに、ガーナの首都アクラ出身のテレサ・アンコマー氏の大規模空間展示がある。数百本のヤシの葉の帯を編み上げ、展示館の正面外壁を覆うことで、自然素材と建築空間の一体化を表現した。詳細はサイト(36.bienal.org.br/)で。
また、同園内のオカ館では「サンパウロ国際建築ビエンナーレ」が18〜19日の2日間開催され、こちらも入場無料。展示は、森林保全や都市の再緑化、水資源の管理、持続可能な建築、再生可能エネルギーの活用、社会的正義と住宅問題といった五つの視点から構成されている。
注目の出展の一つに、サンパウロ市近郊カラピクイバの「アグアス・ド・カダヴァル」がある。これは環境保全と、歴史的・文化的遺産の継承を目的としたプロジェクトだ。英国からは、気温や湿度に応じて開閉し、通風を促す木製の「呼吸する編み込み構造の外壁」が出展され、環境に適応する建築技術として注目を集める。
スペインのグラン・カナリア島北岸における高潮被害の軽減を目指す「ライフ・コストアダプタ」プロジェクトでは、潮汐プールの設置によって海水の影響を緩和し、沿岸住民の安全確保を図る取り組みが紹介されている。

芸術と建築の両分野から多彩な課題解決の試みが示され、現代社会が抱える複雑な問題に多面的に触れる貴重な機会となっている。詳細はサイト(bienaldearquitetura.org.br/)で。
一方、8回目を迎える「サンパウロ・オクトーバーフェスト」は、19日から3週末にわたり、ヴィラ・ロボス公園で開催される。約2万5千平方メートルの特設会場で、ドイツ・バイエルン地方の伝統衣装に身を包んだ人々が集い、祝祭の熱気に包まれる。

今回の目玉はイベント公式ビール「サンパウロ・フェストビア」の初登場で、伝統的なモルト感に、ブラジル人好みの爽快さを加えた味わいが特徴。
併催の「クラフトビール・フェスティバル」では、約70の地ビールブランドが出展。料理も充実しており、プレッツェルや豚すね肉、特大ソーセージ「SPOFヴルスト」など、ドイツ伝統料理を含む80種類のフードが提供される。
入場料は一般168レアル。非腐敗性食品1キロ持参で94レアルに割引される。飲食は別途必要。会場はビアガーデン、音楽ライブ用テント、観覧車などがある遊園地エリアに分かれており、アトラクションの利用料金は別途かかる。
初週末のライブは80年代ロックが中心で、19日にはエヴァンドロ・メスキータ率いるブリッツが登場。20日はABBAやビー・ジーズのヒット曲を披露するミュージカル、21日はロックバンドのバロン・ヴェルメーリョがメインステージを飾る。
26日にはサンバ歌手ジオゴ・ノゲイラや、10月3日にはロックバンドCPM22も出演。ドイツ伝統音楽を奏でるバンド「ダウエルラウフバンド」が毎日ライブで会場を盛り上げる。詳細はサイト(saopaulooktoberfest.com.br/)で。