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《記者コラム》セレソンはなぜ噛み合っていないのか?

2023年10月20日

ウルグアイ戦前のネイマール(Vitor Silva/CBF)
ウルグアイ戦前のネイマール(Vitor Silva/CBF)

 サッカーW杯予選でのセレソンの調子が明らかにおかしい。10月に行われた予選第2節で、下位常連のベネズエラに本拠地試合で引き分け、さらにウルグアイには0―2で惨敗のありさま。2015年から予選負け知らずだっただけに、そのショックは大きい。

 そして、これは不思議な絶不調でもある。「これまでと比べて戦力が弱いのか」と言われるとそうではない。それどころか、選手の所属チームレベルだけを見れば、ここ10年で最高レベル。昨年のW杯でもそれを理由に優勝候補の筆頭に挙げられたものだ。
 それなのに勝てていない。攻撃の要となる左右のウイングは世界屈指の強豪、レアル・マドリッドのヴィニシウス・ジュニオルとロドリゴなのにだ。
 だがコラム子は、勝てない理由の一つがそこにあると思っている。
 この2人がレアルの時のようにやれれば負けないはずだ。しかし、残念ながら現状のセレソンはレアルの選手たちのように「阿吽の呼吸」で試合ができていない。その微妙なズレが、2人のプレーを少しずつ狂わせているようだ。
 2人はレアルで、攻撃の起点を作る役割を果たしている。レアルでは真ん中の少し下がったポジションでベリンガム(イングランド)が点取り屋を務めているが、セレソンではこれをネイマールが務めている。攻撃パターンは実は同じなのだがうまくいっていない。
 これに関しては、ネイマールには酷な言い方になるが、弱冠20歳で伸び盛りのベリンガムと、ピークを超えた31歳のネイマールの勢いの差が出ている気がする。
 ネイマールは現在、レベルの低いサウジアラビアリーグに所属し、故障もしがち。スペイン・リーグで最も脚光を浴びる新星ベリンガムと同じ活躍を期待するのは無理がある。
 ベリンガムとネイマールの差を埋めるためには、ヴィニシウスやロドリゴ、さらにセンター・フォワードの得点意識を上げなくてはならないだろう。奇しくも第1節ではヴィニシウスの欠場でレアル型が崩れていたが、初戦のボリビア戦を始め、選手の動きは良かった。
 また、今回の敗戦と時を同じくして、ネイマールが精神科医のセレソン帯同を拒否していることが報じられた。
 これはとても残念なことだ。欧州の世界トップレベルの国では、精神面ケアのため、精神科医の帯同は常識的に行われている。口うるさい国内ファンからのプレッシャーが最も強い伯国で、この点の理解が遅れているのでは、たとえどんなに実力があっても、ここ一番で苦しむことになるだろう。(陽)


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