日系ブラジル人と拓く新しい未来=人口減少時代の日本に助っ人=共創プロジェクトで地域活性化

日本の人口は急速に減少し、少子高齢化の進行により、労働力不足は深刻化が進み、地方経済や地域社会の活力にも陰りが見え始めている。この構造的な課題に対して企業は人材の確保に苦慮し、地域は若年層流出や担い手不足に直面している。こうした状況を打破するために、日系ブラジル人と一緒に取り組もうと立ち上げられたのが「共創プロジェクト(Joint Creation Project)」だ。UTスリーエム社(本社:東京都品川区、代表取締役・筑井信行)が主幹事、株式会社ヒロモリが事務局となって立ち上がった新たな取り組みだ。日本企業、地域社会、日系ブラジル人が三位一体となり、人口減少時代を乗り越えるモデルを創出することを目指している。
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製造領域において派遣・紹介事業を手掛けるUTグループ株式会社(代表取締役社長・外村学)の完全子会社、UTスリーエムは日系人材の人材派遣・請負事業を行い、2千人以上が在籍する。
同社は17日から19日まで幕張メッセ(千葉県千葉市)で開催される「第1回 製造業 人手不足対策 EXPO」にも出展し、日系人材の移住の歴史をはじめ、日系外国人材の活躍機会の創出や社員と顧客企業間の円滑なコミュニケーションをサポートする体制、製造業の生産性向上と地方創生に取り組んできた事例について展示や2回のセミナーで紹介するという。
最初のセミナーは「未だ知られていない日系ブラジル人の可能性と製造業への導入事例」(筑井信行代表取締役、https://x.gd/MWMfT)で日本時間18日(木)13時から30分、2回目は19日(金)11時から30分、同テーマ(横山真司取締役、https://x.gd/LHkEE)。
人口減少という課題を、共に未来を拓く力に変えていく――。この日系人材派遣事業を通してその価値をよく知っているだけに、日系人材を活用して地域社会や企業の活性化を図ることで、社会貢献できないかと今プロジェクトが始められた。
世界に約500万人いる日系人のうち、最多を誇るのが日系ブラジル人で約270万人だ。日系人の多くは陽気でおおらかな性格を持ち、日本的な勤勉さや礼儀正しさも兼ね備え、家族や教育を大切にし、社会に貢献する意識が高い特徴がある。
日伯文化の融合によって生まれた独自の日系アイデンティティが、日本の地域社会で新しい活力をもたらす可能性を秘めていると同プロジェクトでは見ている。日系ブラジル人と企業・地域が結びつくことで、労働力確保にとどまらず、地域社会に根付いた新しい交流や文化的な彩りを生み出すことが可能だと考えている。日系人が地域に根ざし、継続的な交流や定住を促進することで、以下のような効果が期待されている。
「若者の流出抑制」地域に新しい日系人材が入ることで、地元の若年層の帰属意識を高める。「伝統行事の活性化」祭りや文化活動への日系人参加を通じて、地域文化が継承されていく。「新しいビジネスの創出」異なる文化背景を持つ日系人材との出会いが、イノベーションや新規市場開拓を促進する。それらが相乗効果を発揮すれば「この地域に住んでいて良かった」と思える社会が実現する取り組みとなりそうだ。
本プロジェクトには、日伯文化交流を象徴する存在として歌手・相川七瀬さんが応援メッセージを寄せている。自身の代表曲がブラジルのマツリダンスで使われている縁から、5月に「日本ブラジル友好大使」に就任し、9月上旬にブラジルでショーを行った。
「共創プロジェクト」は現在参加企業を広く募集中だ。人材確保に課題を抱える企業、地方創生に関心のある企業、多文化共生に取り組みたい企業にとって実りある挑戦の場となりそうだ。プロジェクト主幹事であるUTスリーエム社は「日系ブラジル人材の雇用や地方創生に関心がある企業のご担当者様は気軽にお問い合わせください」と連絡(info@ja-bridge.jp)を呼びかけている。