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JICA協力隊員リレーエッセイ=ブラジル各地から日系社会を伝える(53)=伝統文化を学び合う=アマゾナス州マナウス和太鼓グループ「風河火山太鼓」=丸山夕芽把

2026年3月12日

和太鼓グループ「風河火山太鼓」の演奏の様子
和太鼓グループ「風河火山太鼓」の演奏の様子

 2025年5月から11カ月間の任期で、ブラジル北部アマゾナス州の州都マナウスに、文化(和太鼓指導)隊員として派遣されています丸山夕芽把です。現在は、地元の和太鼓グループ「風河火山太鼓」の指導にあたっています。

 マナウスはアマゾン川流域に位置する人口約200万人の都市で、豊かな自然と都市機能が共存する街です。熱帯特有の気候のため一年を通して暑さが続き、日本のような四季はありません。季節の移ろいを感じにくい点に日本との違いを意識することもありますが、日本を離れて生活することで、これまで当たり前だと思っていた季節の変化や自然の豊かさなど、日本の良さを改めて認識する機会にもなっています。

 ここからは、マナウスでの活動を振り返り、特に印象に残っている出来事について紹介します。

 一つ目は、9月末に行われた「ジャングル祭」での演奏です。このイベントでは、私が指導してきた新曲を初めて披露しました。約4カ月間かけて基礎から練習を重ねてきた曲で、これまで5分程度の楽曲を中心に演奏してきたメンバーにとって、10分間あるこの曲は体力的にも大きな挑戦でした。

 練習では思い通りにいかないことも多く、本番までに曲の完成度をどこまで高められるのだろうかと、不安やプレッシャーを感じることもありました。当日は緊張感のある中での演奏となりましたが、メンバー全員が思いのこもった演奏を披露し、これまでの数カ月間の努力が報われたような達成感を得ることができました。この経験は、グループとしての一体感を高める機会にもなったと感じています。

和太鼓グループ「風河火山太鼓」メンバーらと
和太鼓グループ「風河火山太鼓」メンバーらと

 もう一つ印象に残っているのは、アマゾナス州を代表する伝統文化である「Boi-Bumbá」との出会いです。マナウスの人々にとってBoi-Bumbáは非常に身近な存在で、日常会話の中でも自然と話題に上ります。

 Boi-Bumbáは、牛を題材にした物語を軸に、音楽や踊り、演出を通して表現される芸能です。特に有名なのが、CaprichosoとGarantidoという二つのグループによる対抗形式で、Caprichosoは青、Garantidoは赤をシンボルカラーとしています。人々はそれぞれ自分の支持するグループの色を身につけ、強い誇りを持って応援します。

 対立構造を持ちながら競い合う舞台芸術が、地域の文化として根付いていることに、新鮮さとともに興味を惹かれました。

 私はこれまで「ブラジルといえばサンバ」というイメージしか持っておらず、マナウスに来るまでこの文化についてほとんど知りませんでした。しかし、日本にも各地に郷土芸能があるように、ブラジルにも土地ごとに大切に受け継がれてきた伝統文化があるのだと、改めて認識するきっかけとなりました。

 10月には、Boi-Bumbá発祥の地であるパリンチンス市で開催された日本祭に参加しました。イベントの空き時間にはBoi-Bumbáの会場を見学する機会がありましたが、その規模の大きさや、観客が二分されて盛り上がる独特の空間は非常に印象的でした。長い時間をかけて育まれてきた文化であることを実感しながら、貴重な体験として見学することができました。

 マナウスでの活動は、和太鼓の指導を通して、日本とは異なる文化や価値観に触れる機会でもあります。こうした経験を今後の活動にも生かしていきたいと考えています。


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