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JICA協力隊員リレーエッセイ=ブラジル各地から日系社会を伝える(46)魅力ある日系文化を次世代へ=スザノ金剛寺学園 土屋なつみ

2025年10月30日

福島県人会の皆さんと土屋さん(前列真ん中左)
福島県人会の皆さんと土屋さん(前列真ん中左)

Oi,tudo bem?

はじめまして。2024年度3次隊の土屋なつみです。

去年まで地元の福島県で、地域おこし協力隊として小学校で英語や情報教育を教えていました。

現在日本では少子高齢化が進んでいるのと、若い世代の都市部への流入があり、地方の過疎化が進んでいます。

地域おこし協力隊とは、その社会課題を解決するべく作られた、いわば日本国内のJICA海外協力隊のようなものです。

その時にブラジル日系3世の生徒との出会いがあり、日本語教師として世界最大の日系コミュニティで日本語を教えてみたい!と思いたち、ブラジルへやって来ました。

2025年5月からスザノ市のスザノ金剛寺学園で日本語を教えています。

スザノ金剛寺学園は1972年にお寺の敷地内に作られた日本語学校です。現在はお寺に隣接して建っています。

生徒数が最も多い時期には200名以上が在籍していた歴史ある学校で、現在は30名ほどが週1~3回の頻度で通っています。

日本語を教えるだけでなく、授業の始めと終わりに礼をしたり、掃除当番があったりと、日本らしい礼儀や習慣もあたりまえの風景としてあり、ブラジルにいることを時々忘れそうになります。

今までいろいろな国へ行きましたが、ブラジルへ来てからの数日間は、気候や治安が日本と違いすぎて、あまり楽しむことができませんでした。

そんな時、福島県人会のイベントに招待していただき、初めて現地の皆さんとお話する機会がありました。

日本のアニメや食文化が好きで日本語を使ってがんばって話してくれた非日系の方、日系二世で「最近また日本語を勉強し始めたんだよ」と話しかけてくれた方、温かい出会いによって私が抱いていた「ブラジル=怖い」という強いイメージがだんだんとほぐれていきました。

それ以来、Festival do Japão(7月)やアチバイア市の花といちご祭り(10月)などお手伝いさせてもらい、ブラジルで日系人がいかに信頼を積み上げてきたか歴史を感じる日々でした。

また、スザノ市においては文化祭り(9月)に複数の日本語学校による合同のワークショップを出展し、2日間で多くの来場者とふれあうことができました。

自分の活動のその先にいる人達の顔を間近で見られたことによって、次はこんなことをしてみたいな!あんなことにもチャレンジしてみたいな!といつもワクワクするようになりました。

スザノ金剛寺学園
スザノ金剛寺学園

ブラジルで日本語教育に携わるようになって感じることは、継承語として日本語が学ばれなくなってきているということです。

その反面、最近は日系、非日系に関わらず「日本文化が大好き!」や「自分のルーツである言語に興味がある」などの理由から学習者自身が高いモチベーションを持って学んでいる姿をよく目にします。

そしてその変化は、県人会などの日系団体の世代の移り変わりにも通ずる部分があると感じています。

私は自分の活動のゴールとして、日本語教育はもちろん、今こうして存在している魅力ある日系社会の文化を次世代へ継承することを目指しています。

そのために日本で会った外国人として生きる日系ブラジル人の姿や次世代へ地域の伝統を繋いでいこうと町おこしした経験などをこの2年間の活動に役立てていきたいと思います。

また、ゴールの達成だけでなく、+αとして、自分がここで生き、この日系社会に何か一つでも残せたらいいなぁとも思います。

もし私の活動に興味がある方がいましたら、ぜひスザノ金剛寺学園に遊びに来てくださいね。


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