マイゾウ・メーノス(まあーまあー)の世界ブラジル(58)=サンパウロ 梅津久
第50話 小切手の世界
今では、クレジットカード電子支払いシステムが手軽にどこでも使用出来る様になったが、80年代までは、一般にクレジットカードが発達しておらず、ブラジルでの買い物の支払いは小切手(シェッケ)での支払いが主流であった。
日本と違って、現金は余り持ち歩かない習慣があり、スーパーマーケット、デパート、専門店、自動車、電気製品の修理代なども全て小切手で支払われ、簡単な月賦支払い等は、先付け日付の小切手を何枚もきることも通常に行われていた。
日本でよくいわれるタンス貯金というのは、ブラジルではまったくナンセンスで、お金を“どぶ”に捨てるようなものであった。
ブラジルの金利は高く、一日いくらの利子が付くため、現金で持っていると、日増しにお金の価値が減少してしまう。そのため、現金は最低必要な分しか持ち歩かなかった。
小切手の使い方で注意をしないといけない事が数点ある。まず絶対に他人(信用のおける人以外)には記入して貰わないこと。後で修正出来るスペースを残して記入されたり、消し込みのきくボールペンで書かれ、後で修正され、高い金額を引き落とされる可能性がある。
小切手を受け取る時は、ノミナルと言って、受取人(自分)の名前を記入してもらうか、受け取り後すぐに自分の名前を記入して紛失、盗難に合っても他人が引き落とせないようにする。
さらに安全な方法としたら小切手の左上の角に斜線を二本入れる、これは現金での引き落としが出来なくなり、銀行の口座振り込みのみの小切手になるため、後で問題が発生した時は誰の口座に入ったか調べることが可能である。
また絶対にしてはいけない事は、自分の名前の入った小切手の裏にサインをしないこと。受取人の名前とサインのある小切手は現金と同じ扱いが可能となり、だれでもが銀行から現金引き出しが可能になるからである。
自分が現金で引き出したい時は銀行の窓口でサインをしてその場で現金引き出しをすること。
またなんらかの理由により小切手を紛失した時は、一刻も早く銀行に行くか連絡を取って、紛失した小切手の番号を知らせ、無効手続きをすること。これが遅れると、銀行が小切手支払いを行っても銀行を訴えることが出来ない。
ブラジルでの商業活動での月賦販売は非常に多い。耐久品、家具はもちろんのこと、日用品まで月賦で購入してしまうのがブラジル人である。
コンソルシオといって、昔の“頼もし講”のように限られた人数で構成された月賦支払い方式が高級耐久品に法律で適用されている。月賦支払いをしていく間に、抽選などで毎月順番に物を受け取る方法である。
かなり昔のことであるが、私が移住して働き始めた頃の1970年代は商業手形が商業・サービス会社間で通常に使用されていた。商品の納入やサービスの提供後、契約金の支払いとして先付け日付の商業手形が発行され、日付後に銀行で現金化することが出来る。
私がブラジルで働き始めた会社では、回転資金の不足から、手にした商業手形を手形取り扱い業者に入れ、割引されて現金化していた。これでは予定していた売上金額が手に入らず、自転車操業に拍車がかかる状況でした。








