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中矢温、白石佳和2氏に協力要請=『ブラジル俳句選集』会議で

2025年12月13日

山口県人会に集まった編纂委員の皆さん
山口県人会に集まった編纂委員の皆さん

流派の垣根を超えた初の『ブラジル俳句選集』を後世に残したい――との想いを抱えた俳人らが編纂委員になり、12月6日にサンパウロ市リベルダーデ区の山口県人会会館で第28回目、今年最後の会議を行い、9人が出席した。昨年5月から毎月2回ほど会議を重ね、日本で来年刊行を目指した活発な議論が行われた。

1世が高齢化する中、日本語文芸活動はやせ細る一方で、流派の垣根を超えた選集を編纂するのは最後の機会との想いが、編纂委員には共通する。

推薦句計約4千句の中から、すでに半分以下に絞り込み、おぼろげながら全体像が見えてきた。その間、大半が80代という編集委員13人のうち、4人が体調不良や脳溢血で倒れるなどの災難に見舞われた。代表の広瀬芳山さんこそ復帰したが、委員からは「早く完成させないと、私たちもどうなることか」という焦りの声が聞こえてくる。

会議では、現代俳句を中心にさらに絞り込む方針が確認された。ブラジル俳句研究者の白石佳和氏(松蔭大学教授)と俳人の中矢温(なかや・のどか)氏に新たに委員参加を打診し、既存リストに加えるべき作品の提案を求めることで合意した。

本の体裁も具体的に議論され、判型は日本の単行本に近い四六判とし、1ページあたり6句を収録。解説文はページ下部にまとめ、俳句と作者名の文字サイズを調整して読みやすさを確保する。配列については、季語別ではなく、移民史の大きな流れに沿う形が望ましいとの意見が多数を占め、巻末には作者別索引を付すことも決まった。

全体構成は「1908~1953(移民開始から戦後移民が到着した年)」「1954~1979年(佐藤念腹の没年まで)」「1980年~現在」の三つ。それぞれの年代の雰囲気を感じさせる句を選ぶ。花鳥諷詠(有季俳句)とそれ以外(現代俳句、無季、自由律)を含める。

刊行資金を支えるクラウドファンディングも準備が進む。大野歩氏が提示した計画案には、動画を用いた広報や有力俳人からの推薦文の獲得など、周到な「根回し」が盛り込まれており、今後さらに詳細を詰める。出版社との交渉も今後の重要課題だ。

刊行主旨に賛同してブラジル国内で寄付を希望する人には現金での協力を呼びかけている。詳細は事務方の宮川信之さん(ワッツアップ11・98644・4612、メールservice.miyagawa@gmail.com)まで連絡を。


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