パリでボンフィン祭りを再現=知られざるアフロ・ブラジル行事

今年で23回目を迎えるブラジル文化振興イベント「ラヴァージェン・ダ・マドレーヌ(マドレーヌ寺院の洗礼式)」が、フランスの首都パリで9月13〜15日の期間に実施される。同イベントは欧州最大級のアフロ・ブラジル伝統行事として知られ、毎年様々な国籍の人々がパリに集まり、音楽やダンスなどのブラジル文化に触れながら交流を楽しむ機会を提供している。10日付アジェンシア・ブラジル(1)が報じた。
このイベントのハイライトは、最終日の15日に行われるパレードで、この日は午前10時半にパリ中心部のレピュブリック広場に集まった群衆が、マドレーヌ寺院に向かって街中を練り歩く。昨年は約6万人が参加した。
ラヴァージェン・ダ・マドレーヌは、ブラジル人アーティストのロベルト・シャヴェス氏によって2002年6月に創設された。ブラジル北東部バイア州出身の彼は、ジルベルト・ジル、カエターノ・ヴェローゾ、ジョアン・ジルベルトといった著名なブラジル人音楽家たちと同じ伝統やスタイルを継承している。このイベントは、ブラジルの文化、観光、美食をテーマにした多彩なプログラムを提供し、パリ市の公式カレンダーに登録されている。
同イベントは、バイア州サルバドールのボンフィン教会で毎年行われる「ラヴァージェン・ド・ボンフィン」という伝統行事からインスパイアされている。これはキリスト教とアフリカ伝来宗教の両方の影響を受けた祭りで、信者たちが教会の前で歌とダンスを用いた儀式を行い、階段を清めることで宗教的な祝福や浄化を象徴している。
ラヴァージェン・ダ・マドレーヌは、このアフロ・ブラジルの伝統をパリで再現している。レピュブリック広場を出発するパレードでは、サンバ、マラカトゥ、カポエイラなどのブラジル音楽とダンスのグループが参加し、パリで多様性、寛容、平和を促進する重要イベントとなっている。
シャヴェス氏はこのイベントが単なる祭りではなく、ブラジル文化を世界に紹介し、観光や国際関係においても重要な役割を果たすとし、「我々ブラジル人にとってもイベントを通じて自分たちの文化を違った角度から見て、新たな気づきを得ることができる重要な機会だ」と述べた。
今年のプログラムには、アフロ・ブラジリアンとズンバ・アシェのダンスワークショップ、歌手のカルリーニョス・ブラウンによるトリオ・エレトリコ(大型ステージと音響設備を搭載した大型トラック)でのパレードが見どころだ。彼は今年、同イベントのためにフランス語での楽曲を制作したという。
トリオにはバトゥカーダ、マラカトゥなどのアフロ・ブラジル系伝統音楽グループが参加し、市内を盛り上げる。
ラヴァージェン・ダ・マドレーヌはユネスコの「奴隷の道プロジェクト」に組み込まれており、世界中で奴隷制度の歴史に影響を与えた地域を文化的に強調し、関連する記憶を保存する活動に貢献している。同イベントはブラジル・オニレとブラジル文化省が主催し、バイア州観光局、ブラジル国際観光振興会(Embratur)などがスポンサー参加している。詳細は公式サイト(https://lavagedelamadeleine.com/)で。