【1日の市況】Ibovespaは今年の後半戦スタートも続伸 ペトロブラスやエンブラエル堅調
2025年後半が幕を開けた。7月1日のブラジル株式市場は、今年前半の流れを引き継ぐかのように上昇し、基準株価指数Ibovespaは前営業日比0.50%高の13万9,549.43ポイントで取引を終えた。前日は1.45%と大きく上昇しており、この2日間で約2,700ポイントの上昇を記録した。
この日の上昇をけん引したのは、資源大手ヴァーレ(VALE3)と国営石油会社ペトロブラス(PETR4)、そして航空機製造のエンブラエル(EMBR3)だった。中でもエンブラエルは、北欧航空SASからの新規受注を材料に4.42%高と大きく値を上げた。
ヴァーレは鉄鉱石価格が中国で下落する中でも1.35%上昇。ペトロブラスは原油価格の上昇に連動して0.35%高となった。Ibovespaは年初からの上昇率が16%を超えており、好調なパフォーマンスが続いている。
一方で、為替市場ではレアル安が進行。商業ドルは前日比0.51%高の1ドル=5.461レアルとなり、3営業日ぶりの上昇となった。依然として5.50レアルを下回っているものの、レアルの先行きには不透明感が残る。
IOF巡る対立、最高裁へ 大統領府と議会が緊張
市場の注目は、金融取引税(IOF)を巡る政権と議会の対立にも集まっている。ルーラ政権は、議会が大統領令によるIOF引き上げを無効としたことを受け、最高裁(STF)に提訴。大統領府法務局(AGU)はこの対応を「大統領権限の制度的擁護」と位置づけており、「議会に対する対立ではない」と強調している。
だが、野党側は強く反発。下院のズッコ野党リーダー(PL)は「政権は司法を使って議会に敗れた政策を押し通そうとしている」と批判し、「政府は議会に戦争を仕掛けた」とまで表現した。
一方、与党・労働者党(PT)のリンベルグ・ファリアス下院議員は「これは税の問題ではなく、法の支配と三権分立を守る戦いだ」と述べ、最高裁の判断に期待を示した。
財政再建を進めるフェルナンド・ハダジ財務相は、「不透明な議会の動きに困惑している」と述べ、下院議長ウゴ・モッタ氏との連絡が取れていないことを明かした。
アメリカでも財政案で波紋
米国でも財政を巡る攻防が続いている。ドナルド・トランプ政権は、巨額の新財政パッケージを辛くも上院で可決させた。決定打となったのは、副大統領であり上院議長も兼ねるJD・ヴァンス氏の決裁票だった。
欧州市場は、米欧通商交渉の不透明感や政策金利を巡る動向を受けて軟調に推移。欧州中央銀行(ECB)はインフレ率が目標水準に達したことを確認したが、市場は米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の発言に注目している。同議長はポルトガル・シントラでの会合で、「関税問題を除けば、年内の利下げは視野に入る」と発言した。
企業動向:金融・保険株に明暗、Naturaはティッカー変更へ
国内企業では、保険会社BBセグリダーデ(BBSE3)が30億レアル超の配当発表を受けて1.76%上昇。だが銀行株はまちまちの動きで、BB(BBAS3)が0.81%安、イタウ(ITUB4)が0.45%高、ブラデスコ(BBDC4)は0.62%高、サンタンデール(SANB11)は2.02%高となった。証券取引所B3(B3SA3)は0.55%下落。
また、化粧品大手ナトゥーラ(NTCO3)は、Avonインターナショナルの分離を含む再編を受けてティッカーを「NATU3」に変更。この日は2.26%下落した。
さらに、鉄鋼大手CSN(CSNA3)に対し、競争当局(Cade)はウジミナス(USIM5)株の売却計画を60日以内に提出するよう命じた。CSNは0.94%高、ウジミナスは0.49%安と明暗が分かれた。
制度改革:B3の「新興市場規定」改定案、企業側が否決
取引所B3は、上場企業のガバナンスを強化する目的で「新興市場(Novo Mercado)」規定の改定案を提示したが、参加企業の半数近くが反対し、案は否決された。全190社のうち152社が投票に参加し、そのうち74社が反対票を投じた。これにより、現行規定が維持されることになった。
明日は、ブラジルの5月鉱工業生産統計の発表が予定されており、米国ではADPによる民間雇用統計、欧州では失業率の発表が控えている。経済指標が次の相場の材料となりそうだ。