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【27日の市況】イボベスパは小幅に反落、前日比0.18%安の13万6,865.79ポイント=銀行株とペトロブラスの下落で反落

2025年7月10日

 週末を迎えた6月最終営業日、ブラジルの代表的株価指数であるイボベスパは小幅に反落し、前日比0.18%安の13万6,865.79ポイントで取引を終えた。前日の上昇幅(約1%)を相殺する形となり、週間でも0.18%安と2週連続の下落となった。一方、通貨レアルは対ドルで0.27%高の1ドル=5.483レアルとなり、2日続けての上昇。将来の金利を示すDI(預金金利)にはまちまちの動きが見られた。

 市場の重荷となったのは、国内金利政策を巡る不透明感と、IOF(金融取引税)を巡る政権と議会の対立の激化である。今週水曜、連邦議会は政府によるIOF増税の大統領令を否決。これを受け、ルーラ大統領は最高裁(STF)への提訴を検討しており、立法府と行政府の緊張はさらに高まる可能性がある。

 経済指標では、明るい材料もあった。5月までの3カ月間におけるブラジルの失業率は6.2%と過去最低水準を記録。正規雇用者数も増加し、専門家の間では「実質賃金の上昇が消費を刺激し、インフレ圧力を強める」との声が上がっている。C6バンクのエコノミスト、クラウジア・モレーノ氏は「労働市場は極めて堅調で、所得の増加が2025年を通じて経済活動を押し上げるだろう。ただし、インフレの抑制は一段と難しくなる」と分析する。

 これに対し、XPインベストメンツのアレシャンドレ・マルフ氏は「経済活動に一段の減速が見られ、為替が安定すれば、中央銀行は利下げを前倒しする可能性がある」と述べた。

 もっとも、ブラジル中央銀行の政策決定会合(Copom)では、利下げ議論はまだ存在しない。経済政策局長のディオゴ・ギレン氏は「期待インフレのアンカーが外れつつある中、当面は現行の年15%の政策金利を維持し、その有効性を慎重に評価する期間が必要だ。利下げは現段階では議論の対象外だ」と語った。

 6月のIGP-M(一般物価指数)は前月比1.67%の下落と、市場予想を上回る減少幅となったが、サービス業の信頼感指数は再び悲観的な水準に落ち込んでいる。

財政政策を巡る発言が波紋 「屋上階の住人」にも負担をとハダジ財務相

 27日、サンパウロ大学法学部で開かれたイベントに出席したフェルナンド・ハダジ財務相は、所得上位層への課税強化の必要性を改めて主張。「これまで税負担を免れてきた者にも“公正な負担”を求めるべきだ」と訴えた。

 ハダジ氏は「これまで財政調整のツケを負わされてきたのは最低賃金の労働者、年金生活者、公務員、郊外の人々だった」と指摘。「“屋上階の住人”に管理費を払わせようとすると、大騒ぎになる。だが、そうしない限り本質的な改革は二の次になる」と述べた。

 同氏はまた「ブラジルは世界で10本の指に入る経済大国だが、同時に極めて不平等な国でもある。そのままでは尊敬される国家にはなれない」と語り、経済力と社会的正義の不均衡に警鐘を鳴らした。

 財務省は予算の透明化を進めており、誰が税を支払っていないかを公開する「ブラックボックスの開示」に踏み切ったと強調。今後は数字に基づいた公平な税制議論が可能になるとした。

IOF政令を巡る対立、最高裁判断に注目

 IOF増税を巡る攻防は司法の場へと舞台を移しつつある。ハダジ氏によれば、ルーラ大統領はこの件について連邦法務庁(AGU)に正式な意見を求めており、仮に議会による政令無効化が「行政府の権限侵害」と判断されれば、最高裁に提訴する方針だという。

 「大統領は、今回の措置が憲法上の越権行為にあたるかどうかAGUに問うた。もし越権と判断されれば、憲法に従い行動せざるを得ない」と語った。

 政府の発表によると、当初のIOF引き上げ案は2025年に100億レアルの追加歳入を見込んでいた。ハダジ氏は「かつての6.38%の税率には誰も文句を言わなかったのに、3.5%にした今になって批判されるのはおかしい。今回の政令は税制の歪みと脱税の温床を是正するものだった」と主張した。

海外市場は上昇 米中関係の改善期待とPCE統計が支えに

 一方、外国市場は堅調だった。米中間の貿易摩擦の緩和を背景に、欧州株式市場が上昇、米ニューヨーク市場も最高値を更新した。米財務長官スコット・ベッセント氏は、トランプ政権下の通商協定の大半が9月の「レイバーデー」までにまとまる可能性があると述べ、交渉期限の柔軟化が投資家心理を支えた。

 ただし、トランプ前大統領がカナダとの交渉停止を示唆したことで一時は反落したが、その後は再び買い戻され、主要指数は堅調に取引を終えた。

 5月の米PCE(個人消費支出)デフレーターは市場予想通りの結果となったが、コア指数は予想をやや上回り、FRBの利下げ時期に対する慎重姿勢は続くと見られる。

個別銘柄 ヴァーレ急伸、ペトロブラスは軟調

 ブラジル株式市場では、資源大手ヴァーレ(VALE3)が1.92%高となり、週ベースで6%超の上昇。ノーヴォ・カラジャスへの巨額投資計画が好感された。取引所運営のB3(B3SA3)は0.14%高、航空機大手エンブラエル(EMBR3)は0.85%高と堅調。

 一方で、銀行株はまちまち。ブラジル銀行(BBAS3)は0.60%高だったが、イタウ・ウニバンコ(ITUB4)は0.11%安と下落。

 エネルギー大手ペトロブラス(PETR4)は、原油価格が上昇する中でも0.79%安となった。PRIO(PRIO3)は一時下落するも0.05%高で取引を終えた。アナリストの目標株価引き上げが支援材料となった。

 教育関連銘柄Yduqs(YDUQ3)は2.06%安。取締役会と経営陣の交代が嫌気された。


 来週火曜日からは2025年下期が始まる。ブラジルでは鉱工業生産統計、米国では雇用関連の重要指標が発表される。今週は苦い結末となったが、次週こそ「甘いニュース」で始まることが市場に期待されている。


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