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【26日の市況】ブラジル株、IOF税撤回とインフレ減速で反発 為替・金利も下落基調に=ドルは0.99%安の5.499レアルに

2025年7月10日

 26日、ブラジル株式市場は反発し、主要株価指数であるIbovespaは前日比0.99%高の13万7,113.89ポイントで取引を終えた。上昇幅は1,346.60ポイントに達し、前日の1%超の下落をおおむね取り戻した。原動力となったのは、連邦議会による金融取引税(IOF)の増税撤回と、インフレ指標の落ち着きである。

 外国為替市場では、ドルに対してレアルが再び上昇。商業レートでのドルは0.99%安の1ドル=5.499レアルとなった。中銀による為替介入(ドル売り介入)が続く中、当局は「今回の介入は一時的措置であり、為替政策の変更を意味するものではない」と釘を刺した。国内金利先物(DI)も一斉に下落した。

議会、IOF税の引き上げを撤回 歳入見通しに影響

 市場を動かした最大の材料は、連邦議会が政権によるIOF税引き上げの大統領令を取り消したことだ。これにより、5月22日から施行されていた新たな税率が無効となり、為替取引、国際カード決済、企業向け融資などにおいて、従来の税率が再び適用されることとなった。関係するシステムの調整には一定の猶予が必要との見方もある。

 財務省は、今回の引き上げによって2025年に100億レアルの歳入増を見込んでいたが、撤回によってこの計画は白紙となる。歳出削減を伴わない財政収支改善策が崩れた格好であり、政権にとっては痛手である。

政権与党と議会、深まる亀裂

 投票は予想以上のスピードで進行し、政府関係者の間でも驚きをもって受け止められた。与党内からは、ルーラ大統領に対し、今回の件を最高裁判所に持ち込まないよう求める声も出ている。一方、アウコロンブレ上院議長は「これは多くの手によって構築された敗北」と述べ、政権の孤立を暗に示唆した。下院議長のウゴ・モッタ氏は、大統領への直接連絡で関係修復を図る構えを見せている。

 この背景には、議員向け予算(emendas parlamentares)の執行遅延に対する不満や、電力料金に関する政令への拒否権行使など、政権と議会の関係悪化があるとされる。

経済指標は堅調、インフレ鈍化が安心感に

 一方、経済指標には明るい兆しが見られた。6月のIPCA-15(インフレ先行指数)は市場予想を下回る結果となり、サービス価格の根強さへの懸念は残るものの、全体としてはインフレ鈍化傾向が確認された。中央銀行のガブリエル・ガリポロ総裁代行は「インフレ目標達成には複数の戦術がある」と述べた。

 また、5月の政府中枢部門の財政赤字は406億レアルと、前年同月の604億レアルから大幅に縮小。歳入は2301億レアルと、1995年の統計開始以来5月としては最高を記録した。

 中央銀行はこうした指標を踏まえ、2025年のGDP成長率見通しを従来の1.9%から2.1%に上方修正。一方で、世界銀行は「持続的な財政改善にはGDP比3%の調整が必要」との見方を維持している。

米国経済は減速、株価は逆行高

 米国では第1四半期GDPが予想以上の縮小となり、個人消費の弱さが浮き彫りとなった。とはいえ、失業保険申請件数は減少し、労働市場の底堅さも示された。

 市場の反応は意外にも前向きで、主要株価指数は上昇。インフレ圧力を和らげる要因と見なされたほか、バイデン政権が関税措置の発動延期を検討しているとの報道も好感された。欧州市場は横ばい圏だった。

主力株堅調、素材・エネルギー中心に買い優勢

 個別銘柄では、鉄鉱石価格の持ち直しを背景に、鉱山大手ヴァーレ(VALE3)が3.01%高と市場をけん引。国営石油会社ペトロブラス(PETR4)も国際原油価格の上昇を受けて0.80%高となった。

 銀行株は全般に堅調だったが、イタウ・ウニバンコ(ITUB4)は0.74%安と逆行安。食肉加工業ではミネルバ(BEEF3)が1.45%高と注目を集め、マルフリグ(MRFG3)、BRF(BRFS3)も小幅高を記録した。

 インフレ沈静化を受けて、小売株にも買いが入った。ロージャス・ヘネール(LREN3)は2.84%高、アサイ(ASAI3)も1.01%上昇し、政策金利の早期引き下げ期待が追い風となっている。

 一方、自動車レンタル業のモヴィダ(MOVI3)とロカリザ(RENT3)は、それぞれ13.89%安、7.28%安と大幅安。新たな政府プログラムの影響を懸念する売りが出た。エコロドヴィアス(ECOR3)は、ブラジル北東部の高速道路BR-101のコンセッション継続が発表される中、0.27%下落した。

「ブラジルは新興国市場で最も注目すべき存在」—JPモルガンが強気

 米JPモルガンは、年後半の新興国戦略の中で「ブラジルは最も魅力的なストーリーの一つ」と評価した。同国の実質金利が依然として高水準(9%)にある中でも、成長が持続し、通貨高とともにインフレも鈍化している点を評価した。

 政権交代の可能性も視野に入れつつ、金融緩和開始と2026年の大統領選が今後の市場の鍵を握ると分析。なかでも金融、建設、不動産セクターに上昇余地があるとし、特に大型株が引き続き主導する展開を予想している。


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