【22日の市況】Ibovespaは前日比0.63%高の13万0464.38ポイント=ブラジルレアルは1.43%上昇して5.722レアルに
ブラジル株式市場の主要株価指数「イボベスパ(Ibovespa)」は、22日の取引を前日比0.63%高の13万0464.38ポイントで終えた。上昇幅は814.35ポイントに及び、資源大手ヴァーレ(Vale)や金融大手イタウ・ウニバンコ(Itaú Unibanco)の株高、さらに米国株の反発を受けて、堅調な展開となった。
同日は、ブラジルの「発見」から525年となる記念日だったが、実際の市場の好調は、前日の米国市場の下落からの急反発が後押しした。トランプ大統領による連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長への批判が再燃し、一時は不透明感が広がったものの、米中間の貿易協議が進展しているとの報道が好感され、投資家心理が改善した。
資源株と金融株が上昇を主導した。鉄鉱石大手のヴァーレ(VALE3)は1.78%高、イタウ・ウニバンコ(ITUB4)は1.95%上昇した。持株会社のイタウサ(ITSA4)も2.21%高、ブラジル証券取引所運営のB3(B3SA3)は1.97%高で取引を終えた。一方、同業のブラデスコ(BBDC4)は0.39%安と逆行安となった。
食肉輸出大手のミネルバ(BEEF3)が3.64%、BRF(BRFS3)が2.98%高と、フリゴリフィコ(食肉加工・輸出関連銘柄)も揃って上昇。公益企業のコペル(CPLE6)はアナリストの「買い」推奨を受けて1.18%上昇した。
エネルギー大手ペトロブラス(PETR4)は、原油価格の上昇を受け、終盤に持ち直し0.23%高で取引を終了した。
為替市場では、米中交渉の進展を背景にドルが主要通貨に対して上昇。ドル指数(DXY)は0.65%高の98.918ポイントを記録した。一方、ブラジルレアルは1.43%上昇し、1ドル=5.722レアルまで買われた。
ガリーポロ中銀総裁「ブラジル経済は例外的な成長を遂げているが、インフレに警戒」
同日、ブラジル中央銀行のガブリエル・ガリーポロ総裁は、上院の経済問題委員会に出席し、「ブラジル経済は多くの指標において例外的な成長を見せており、現在非常に加熱している」と述べた。一方で、インフレ率が中銀の目標である年率3%を上回る状況が続いており、物価上昇の広がりにも警鐘を鳴らした。
同氏は、3月に中銀が政策金利(Selic)を14.25%に据え置いた背景についても言及し、「経済活動の活発さを抑制しない限り、インフレは抑え込めない」と説明した。物価の上昇は、工業製品、サービス、管理価格、家庭向け食品など複数の分野に広がっており、「期待インフレが目標から乖離している」と述べた。
さらに、住宅ローン市場における資金調達(ファンディング)の構造転換が必要であるとも主張。現在、住宅ローンは貯蓄預金に依存しているが、預金残高が減少傾向にある中で、市場型の調達手法への移行が必要とされていると語った。
外交方針を巡る政治の動きも注目
外交政策では、ルーラ大統領がチリのボリッチ大統領との会談で、「ブラジルは隣国との関係をおろそかにしてはならない」と語る一方、「アメリカか中国かという選択をしたくない。両方と良好な関係を築く」と述べた。この中立的な立場も市場の不透明要因の一つとなっている。
今週の注目材料
今週のブラジル市場は、25日(金)に発表される4月のIPCA-15(消費者物価指数・速報値)に注目が集まる。インフレ動向が政策金利の方向性に影響する可能性が高く、投資家は慎重な姿勢を続けている。