【24日の市況】Ibovespaは前日比1.79%高の13万4,580.43ポイント=ドルは0.47%上昇して5.692レアルに
ブラジル株式市場が勢いを強めている。4月24日(木)、ブラジルの代表的株価指数であるボベスパ(Ibovespa)は前日比1.79%高の13万4,580.43ポイントで取引を終え、2025年の最高値を更新した。取引時間中には一時13万4,937.55ポイントまで上昇し、昨年9月以来の水準に到達した。
この日の上昇幅は2,364ポイント超に及び、投資家心理の大幅な改善を映し出す格好となった。背景には、米中間の貿易摩擦の緩和に向けた期待が再燃したことに加え、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策を巡る不透明感がやや後退し、リスク選好が戻ってきたことがある。
米国ではドナルド・トランプ前大統領が「2~3週間以内に貿易関税の見直しを行う可能性がある」と発言し、関税引き下げに含みを持たせた。また、中国が前日に「交渉は存在しない」とした見解についても、「それは事実ではない」と強調し、協議継続の姿勢を示した。これらの発言を受け、米国株式市場は3日連続で堅調に推移し、欧州市場も連れ高となった。
こうした外部環境の改善がブラジル市場にも好影響をもたらした。外国人投資家の資金流入も観測され、通貨レアルは対米ドルで0.47%上昇し、1ドル=5.692レアルと5日連続で値を戻した。
金融・資源関連が相場けん引、Valeは決算控え堅調
個別銘柄では、鉱山大手ヴァーレ(Vale)が1.56%上昇。鉄鉱石やニッケルなどの価格下落を受けて収益の鈍化が予想されていたが、投資家は決算を前に買いを先行させた。実際に同日夜に発表された2025年1~3月期(第1四半期)の決算では、純利益が前年同期比17%減の13億9,400万ドルとなり、アナリスト予想を下回った。
売上高は81億1,900万ドルで前年同期比4%減。EBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)も31億1,500万ドルと前年から9%減少した。生産コスト削減が進む一方、販売価格の軟化が収益を圧迫した。CEOのグスタボ・ピメンタ氏は「コスト管理は順調で、C1コストは1トン当たり21ドルまで低下した」と述べ、年内の見通しには自信を見せた。
金融株も市場のけん引役となった。ブラデスコやイタウ・ウニバンコなどの大手銀行株がそろって上昇。一方、国営石油大手ペトロブラス(Petrobras)は原油価格が持ち直す中でも0.46%下落した。その他、紙パルプ大手スザノ(Suzano)は買収報道により0.36%下落し、ドラッグストア大手RD(旧Raia Drogasil)も1.33%の下げとなった。
航空会社アズール(Azul)は、増資の実施を発表したものの市場の反応は厳しく、株価は24.84%急落。資本強化を目的とするが、希薄化への懸念が広がった。
国内経済には依然不透明感 中銀は見通しの公表を控える構え
一方で、ブラジル国内経済には引き続き不安要素も残る。ブラジル中央銀行のディエゴ・ギレン政策局長は、民間労働者向けの新しい給与担保型融資制度について「経済成長予測への影響はまだ反映していない」と述べ、現時点での成長見通しの修正を見送った。高金利や家計債務の水準の高さ、インフレへの警戒感などが投資家心理の抑制要因となっている。
明日発表のインフレ指標に注目
明日25日(金)には、4月のIPCA-15(拡大消費者物価指数・速報値)が発表される予定で、市場ではインフレの進行がどの程度抑制されているかが注目される。インフレ鈍化が確認されれば、年後半の利下げ観測が強まり、株式市場の支援材料となる可能性がある。