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ミレイが国連を痛烈批判=トランプの改革路線に共鳴

2025年9月26日

万華鏡1
国連総会で演説するハビエル・ミレイ・アルゼンチン大統領(Instagram @javiermilei)

ハビエル・ミレイ・アルゼンチン大統領は24日、国連総会の一般討論演説で、国連が創設当初の理念を逸脱し、「超国家的政府」として官僚主義とイデオロギーを各国に押し付けていると非難した。特に「アジェンダ2030」は、国家の主権と個人の自由・財産権を侵害する社会主義的プログラムだと断じ、その破綻を指摘。トランプ米大統領が進めた国連予算の大幅削減や改革要求を支持し、共鳴する形で一連の批判を展開したと同日付オエステ誌など(1)(2)(3)が報じた。

ミレイ氏は、国連が深刻な自己矛盾を抱えていると批判。人権擁護を掲げながら、キューバやベネズエラといった独裁政権が人権理事会の一員となっている点や、女性の権利を主張しながら、肌を見せた女性に刑罰を科す国々を女性差別撤廃委員会に迎え入れている現状を挙げ、「この場において語られる人権擁護の言葉は行動と一致していない」と指摘した。

国連が中東政策においても偏向的立場を取っているとし、「自由民主主義を擁護する中東唯一の国家であるイスラエルに対して、国連は体系的に反対票を投じ続けている」と非難。その一方で、テロリズムに対する実質的な対応能力を欠いているとも述べた。

ウクライナ戦争に関しても、国連の無力さを指摘し、「ロシアによるウクライナ侵攻という卑劣で異常な行為に対し、国連は実効的な行動を取れていない」と述べたうえで、現在の国連は「真の国際紛争に対して何ら解決策を提供できない組織に成り下がっている」との認識を示した。

これらの背景には米国が同日、アルゼンチンに対して200億ドルの金融支援を発表したこともあると見られる。ミレイ氏は壇上で、「トランプ大統領と米国は、世界経済の大危機を回避するための改革を推進している」と称賛し、演説でもその改革を支持する姿勢を示した。

ミレイ氏は国連を「複数の触手をもつリヴァイアサン(旧約聖書に登場する怪物)」に喩え、各国主権を制限する超国家的な支配機構へと変質しているとの見解を示した。

アジェンダ2030に関しては、「その本質は社会主義色の強い超国家的統治プログラムであり、現代の諸問題を解決する名目で主権国家の自律性を侵害し、個々人の生命・自由・財産の権利を圧殺している」と強く批判。同アジェンダが掲げる目標の根底にある価値観や制度設計は、国連創設時に策定された「世界人権宣言」の基本原則から逸脱していると主張。「貧困、格差、差別といった社会問題の解決を謳いながら、実際にはそれらを悪化させる立法措置が伴っている」と断じた。

15年に全加盟国が採択したアジェンダ2030は「持続可能な開発目標(SDGs)」として17の目標を掲げ、貧困や飢餓の撲滅、ジェンダー平等の推進、気候変動への対応など多岐にわたる社会課題の解決を目指す。

だが、ミレイ氏はこうした国際的枠組みが経済面においても深刻な悪影響を及ぼしていると指摘。特に、先進国が主導する炭素排出削減を目的とした環境規制や、多国間貿易における非関税障壁といった政策が、開発途上国の資源活用や産業発展を制限しているとみなす。

「開発途上国は、自国の天然資源を活用して経済発展を遂げる権利を、かつて先進国が行ってきた同様の方法で主張しているにもかかわらず、その権利が先進国主導の規制によって制限されている」と指摘。

このような国際的な政策介入が自由な経済発展を妨げていると強調し、「集産主義的政策は経済成長を抑制し、財産権を侵害し、市場の経済プロセスを歪めている」と断言。この「集産主義的政策」とは、同アジェンダに内包される一部の規制や国家介入の強化を指し、同氏の掲げる極端な自由主義経済の立場からは否定的に捉えられている。

ミレイ氏はトランプ米大統領と同様、国連の権限縮小を支持しており、国連の無駄なプログラム廃止と資金の投入を「結果が検証可能なもの提案。国連は平和と安全の維持に専念し、それ以外は主権国家に委ねるべきだと主張し、超国家的統治を制限し、加盟国の自由と民主主義を尊重すべきだと強調した。

演説の終盤、「我々は今、ある歴史的サイクルの終焉に直面している」と警鐘を鳴らした。「集産主義とモラル的自己顕示を特徴とする〝ウォーク・アジェンダ(社会的正義運動的な政策群)〟は現実との衝突を免れず、世界が直面する真の課題はそもそもそのアジェンダの中に存在しなかった」と述べ、演説を締めくくった。


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