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奥原マリオさんが著書刊行=連邦政府謝罪への道のり

2025年10月22日

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ブラジル日本移民が受けた戦中戦後の人権侵害を明るみに出し、公式な事実認知を求め続けた長い道のりを描くポ語書籍『Justiça Histórica dos Imigrantes Japoneses no Brasil』(ブラジル日本移民の歴史的正義)がこのほど出版され、一般販売が始まった。著者は、四半世紀の長きにわたる歴史的記録の掘り起こしと、政府謝罪の働きかけに尽力してきた奥原マリオ純氏だ。

本書は、1943年にサントス市から6500人以上の日本移民と子孫が強制退去させられ事件と、1946年に172人の勝ち組がアンシエッタ島に拘束された出来事を出発点としている。第2次大戦終結から80年の歳月を経て、昨年7月に連邦政府がついに日系社会に公式謝罪を行うという歴史的な節目を迎えるまでの過程を克明にたどる。

この運動の背景には、ブラジル沖縄県人会をはじめとする日系団体の協力があった。記録を掘り起こし、記憶をつなぐ活動は実に26年に及ぶ。奥原氏は「これは金銭的補償を求めるものではなく、道義的な償いを通じて尊厳を取り戻す闘いだった」と運動の意義を語る。

全140頁にわたる本書には、歴史的資料の調査過程から、教育・法制度・人権意識の変遷までが詳細にまとめられている。各章にはQRコードが付され、読者が関連資料にアクセスし、より深く学べる構成となっている。巻末には、戦中・戦後に日系社会に影響を与えた出来事や法制度を網羅した年表も掲載されている。

奥原氏は「この本は日系人だけでなく、法の支配や人権、共生社会を重んじるすべての人に読んでほしい。日系人の歴史はブラジルの歴史そのものだ」と強調する。本書は教育者や研究者、弁護士、歴史愛好者にとっても重要な資料となるだろう。

購入方法は次の3通り。著者にサイン入り本を直接注文(WhatsApp11・91560・0110、郵送)、Amazon(www.amazon.com.br/s?k=9788588246898)でのオンライン購入、または聖市リベルダーデ広場の「太陽堂書店(Livraria Sol)」での店頭購入。

奥原氏は最後に、「この本の刊行は終わりではなく始まり。次はこの歴史をブラジルの教育の中に取り入れることが目標です」と語る。正義の歩みが教育へと受け継がれる――その第一歩となる一冊と言える。


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