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モジ市永昌山禅源寺=開創70周年300人で祝福=檀家一丸となり大規模改修実現

2025年12月13日

僧侶と檀信徒らでの集合写真(提供写真)
僧侶と檀信徒らでの集合写真(提供写真)

サンパウロ州モジ・ダス・クルーゼス市の永昌山禅源寺(田原良樹住職)で11月30日午前9時、同寺開創70周年記念法要が行われた。法要には護持会(檀家)を始め、ブラジル、日本、アルゼンチン、コロンビア、パラグアイ、ペルー、米国サンフランシスコの7カ国25人以上の僧侶が参加。日本からは同寺でかつて住職を務めた、佐藤鴻舟師(現・静岡県袋井市可睡斎役寮)が訪れた。モジ市議会議員の幸村ペドロ氏ら来賓も出席し、総勢約300人で70周年の節目を祝った。

禅源寺の建立が始まったのは1955年初め。瓦製造会社の足立小平治氏が発起人となり、小田太六氏、清川章太郎氏、土井吉助氏らモジ市の有志6人が賛同し、同市Porteira Preta地区に建立した。同年9月11日には当時曹洞宗管長だった髙階瓏仙禅師により入仏式が執り行われた。建立に当たっては、当時の味の素株式会社三代目社長・鈴木三郎氏が仏像・仏具を寄贈したという。

その後、1965年ごろに現在のモジ市Vila Lavinia地区へ移転。同寺はブラジル最古の曹洞宗寺院で、サンパウロ市リベルダーデ区の仏心寺に南米別院が移されるまで、南米布教の中心地としての役割を担ってきた。現在も檀信徒のみならず、市民のラジオ体操、ヨガ教室、保育園の行事などにも利用され、地域貢献の場となっている。

今回の式典に合わせ、同寺では檀家を中心に約1年半をかけた大規模改修工事を行った。費用は檀信徒やモジ地区の日系企業、商店などからの寄付で賄われ、本堂の床修復や建物の塗装・屋根修復、納骨堂や待合室の新設、枯山水の造園などが実施された。

中でも、枯山水は造園未経験の檀家有志が仏教・禅の思想とブラジルの自然・文化を独創的に織り交ぜて創り、来寺者に称賛された。市役所からは「モジ市の名勝に」との声も上がっている。

式典では、開創70周年慶讃法要、「法戦式」と呼ばれる禅問答を行う法要、先人への供養が営まれた。法要では、曹洞宗宗務庁宗務総長服部秀世師の祝辞が、曹洞宗南アメリカ国際布教総監で、両大本山南米別院仏心寺住職の清野暢邦師によって代読された。

法要後には、枯山水の庭に桜とイペーの植樹が行われ、参加者全員で記念撮影。ケーキカットや祝宴、モジ福島県人会太鼓部の演奏なども行われた。

挨拶する田原住職
挨拶する田原住職

田原住職は、「70周年の節目をお祝いできたのは、皆さまの日ごろのご協力があってのこと。仏さま、檀信徒の皆さま、関係各位に改めて感謝申し上げます」と述べた。

護持会理事長の松原新太郎さん
護持会理事長の松原新太郎さん

護持会理事長の松原新太郎さん(80歳・大阪府)は、「この寺があるのは先人のおかげ。維持し、発展させていくのが我々の役目です。多くの寄付のおかげで無事に改修工事ができ、本当に感謝しています。これで後世に禅源寺の歴史を残すことができます」と語った。

式典に参加した不破吏子さん(89歳・岐阜県)は、5年前に夫とともに同寺の檀家となった。不破さんの両親は約30年前から同寺の檀家だったという。「新しく改修されたお寺と今回の式典は本当に素晴らしかったです。両親がここにお参りしていたこと、そして今こうして私も参加できていることに、胸がいっぱいになりました」と涙を浮かべながら語った。


服部秀世宗務総長
服部秀世宗務総長

祝辞=曹洞宗宗務庁=宗務総長 服部秀世


ブラジル連邦共和国サンパウロ州モジダスクルーゼス永昌山禅源寺開創七十周年記念行事の開催にあたり、曹洞宗を代表して心よりお祝い申し上げます。

禅源寺は昭和三十年(1955年)、当時曹洞宗管長であられた髙階瓏仙禅師の御巡錫を契機として、ブラジルにおける最初の曹洞宗寺院として開山されました。当篤信の士とともに異郷ブラジルの地で曹洞禅のみ教えを伝えるべく尽力なされたそのご労苦は、想像を絶するものであったことと拝察いたします。

まさしく本年は、曹洞宗ブラジル開教七十年の大いなる節目にあたります。現在、田原良樹師が国際布教師として禅源寺に赴任され、檀信徒の皆様と一体となって日々尽力しておられます。皆様の献身的なお力添えにより、日本庭園の造成、東司・事務所・待合室の改修、さらには本堂の修繕や納骨堂の建立など、伽藍が着実に整備されてきました。

今日こうして七十周年の慶事を迎えられますのも、歴代住職をはじめ関係各位、そして篤信の檀信徒の皆様のたゆまぬご精進の賜物であり、深く感謝申し上げます。長年にわたり、曹洞宗の教えはブラジルの地に着実に根付き、現地社会における心の拠り所として人々の精神面および文化面において大きな貢献を果たしてこられましたことは、誠に意義深いことであります。

最後に、本記念行事の開催に尽力された関係各位に心から敬意を表し、一仏両祖のみ教えがブラジルの曹洞禅の源より、南アメリカの地に普く永に昌ますことを祈念申し上げ、お祝いの言葉といたします。

令和7年11月30日

曹洞宗宗務庁

宗務総長 服部秀世


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