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現地で活躍する日系企業の今(1)地域農業と共に歩む=南米最大級のアセロラ拠点=アセロラ専門メーカー・ニアグロ(Niagro、Nichirei do Brasil Agrícola Ltda.)

2026年3月7日

ニアグロ社ロゴマーク
ニアグロ社ロゴマーク

 「ブラジルで活躍する日系企業の今」第1回は、株式会社ニチレイフーズ(以下、ニチレイフーズ)の子会社としてブラジルでアセロラ事業を展開している「ニアグロ(Niagro)」(Niagro - Nichirei do Brasil Agrícola Ltda.)(山根公平社長)を紹介する。(取材:淀貴彦記者)

山根社長(提供写真)
山根社長(提供写真)

アセロラを通じて築くブラジルとの絆


 親会社であるニチレイフーズは、冷凍食品や冷凍野菜をはじめとする加工食品の開発・製造・販売を手がける日本最大手の冷凍食品メーカーである。

 ニアグロはその海外拠点として1992年にペルナンブコ州レシフェ市に設立され、現在は同州ペトロリーナ市に本拠を置いている。創業から30年以上にわたり、アセロラ果実の加工・輸出を通じて「ブラジル発の自然素材」を世界市場に届け続けている。

アセロラの実(提供写真)
アセロラの実(提供写真)

 アセロラは、熱帯地方で栽培される赤い果実で、ビタミンC含有量はレモンの約30倍ともいわれ、一般的な食品よりも栄養価が高く、健康効果が期待できるスーパーフルーツだ。ブラジル北東部はその生育に最も適した地域の一つであり、世界的な供給地として知られている。

 ニアグロでは、約400戸の契約農家から年間約1万5000トンのアセロラ果実を仕入れ、加工しており、ブラジル最大のアセロラ加工拠点として北東伯の果実産業を支えている。

 同社のペトロリーナ工場は敷地面積約3万3000平方メートル(うち建物7400平方メートル)を誇る。冷凍貯蔵能力は約1690トンで、3基の凍結庫と2基の原料保管庫を備え、同地域でも指折りの大規模加工施設だ。

 2023年には新たに粉末製造用の乾燥工場を増設し、技術革新にも取り組んでいる。品質保証部門が各工程をモニタリングし、不良発生を最小限に抑える仕組みが徹底されている。

アセロラパウダー商品(提供写真)
アセロラパウダー商品(提供写真)

果実から世界市場へ完全一貫生産で支えるアセロラ事業


 同社の最大の強みは、主力製品であるアセロラピューレ、濃縮果汁、パウダーの3種を、原料受け入れから最終製品まで自社で一貫して製造できる体制にある。

 ペトロリーナ周辺の契約農家で収穫された果実を原料に、洗浄・濃縮・乾燥までを一気通貫で処理している。

 独自の温度と真空を組み合わせた乾燥工程によって果実の栄養を損なうことなく粉末化し、最遮光・防湿性の高いパッケージで出荷されるなど、品質保持を徹底している。

 製品はヨーロッパやアメリカを中心に輸出されており、飲料・食品業界のほか、パンや肉製品の品質改良剤、さらには化粧品原料としても利用されている。

 パンでは生地をふっくら保ち、肉では酸化防止や保存性向上に寄与している。

 化粧品分野では配合量こそ微量だが、「ナチュラル素材」や「天然の恵み」を象徴する成分として注目されている。

 北東伯で生産されるアセロラのおよそ半数がニアグロが製品化しているとされ、同社は「アセロラ専門企業(Especialista em Acerola)」として世界で確固たる地位を築いている。

日本人駐在員集合写真
日本人駐在員集合写真

品質と環境へのこだわり日本式5Sを根づかせる


 ニアグロは現地人材を採用し、教育と訓練を重ねた結果、2000年代初頭に国際的な食品安全基準である「HACCP」および「FSSC22000」を取得している。

 同社が生産活動で特に重視しているのが日本式の5S活動(整理・整頓・清掃・清潔・躾)である。

 「整理整頓は単なるルールではなく、文化をつくるもの」と考え、5S活動を通じて職場の秩序と清潔さを保つ取り組みは、ブラジル人社員をまとめる共通言語となっている。

 社員数は約270人で、障がい者雇用や研修生などを積極的に採用している。社内には「5Sチーム」「サステナビリティチーム」「オーガニックチーム」「リスク委員会」などを設け、社員主導の改善・品質活動が定着している。

 また、契約農家との協働にも力を入れており、苗木の無償提供や技術指導を行うほか、毎年「契約農家感謝祭(功労表彰会)」を開催している。このイベントでは、高品質なアセロラの安定供給を支える地元農家の努力をたたえ、地域との信頼関係を深めている。

 貧困家庭向け児童施設への支援や学生インターンシップの受け入れなど、地域社会への貢献活動も続けている。

 環境保全にも力を入れており、水使用量削減のための効率的な灌漑技術指導、微生物を活用した工場排水処理、果汁製造時に生じる残渣を家畜用飼料に再利用するなど多方面で環境負荷低減に取り組んでいる。

 こうした取り組みが評価され、企業の社会的責任を測るエコバディス社の国際サステナビリティ調査で、2021年に『ゴールド』認証を取得して以来、4年連続でエコバディス社の評価においてトップ5%を維持。こうした国際的評価は、欧州・米国の顧客からの信頼をさらに強固なものにしている。

ニアグロ社の工場(提供写真)
ニアグロ社の工場(提供写真)

地域とともに未来へ


 30年を超える歩みの中で培った技術と信頼をもとに、ニアグロは地域社会や契約農家と連携しながら、ブラジルの自然が育むアセロラの恵みを世界へ届ける取り組みをさらに広げていく考えだ。


ニアグロ社の概要
 正式名称Niagro - Nichirei do Brasil Agrícola Ltda.
 所在地ペルナンブコ州ペトロリーナ市
 設立年月:1992年
 従業員数:約270人
 事業内容アセロラ果汁・濃縮液・粉末の製造・輸出販売
 URLhttps://www.niagro.com.br


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