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副候補が大統領の「致命傷」?=大統領選まで100日

2022年7月1日

ブラガ・ネット氏(Marcello Casal Jr/Agencia Brasil)
ブラガ・ネット氏(Marcello Casal Jr/Agencia Brasil)

 大統領選まで100日を切ったブラジル。現時点でボルソナロ大統領はルーラ氏に20%近く支持率を引き離されている。巻き返しを図りたいところだが、目に見えて「これが支持率アップの切り札」と言える要素は見えない。むしろ逆に、「追い上げムードを盛り下げる存在」の指摘がなされている。槍玉となっているのが、大統領副候補のヴァルテル・ブラガ・ネット氏だ。
 ブラガ・ネット氏といえば軍人閣僚きってのコワモテとして知られている人物。「2018年に治安悪化するリオを州政府に代わって統治した軍の司令官」というと聞こえは良いが、その一方でボルソナロ大統領の望みを通そうとして、下院議長らに威嚇行為を行ったガラの悪さがたびたび指摘されている。
 これまでの世論調査から、ボルソナロ氏の弱点は「女性からの支持率の低さ」との分析がある。ルーラ氏との性別支持率比較を見ると、男性支持率にはさほど差がないのに、女性となると不支持率が70%台と高く、支持している女性は30%にも満たない。投票は男女が共に行い、女性の方が人口が多いのだから、「女性票で負ける」と思われても仕方がない。
 中道勢力「セントロン」はボルソナロ政権で辣腕ぶりを発揮していたテレーザ・クリスチーナ元農相を副候補に勧め続けていた。彼女を副に据えることで、ボルソナロ氏に抵抗感を持つ女性たちへの印象を和らげようとしたのだ。これで女性からの支持率が10%でも上がろうものなら、勝機も見えそうなものだ。
 だが、ボルソナロ氏はセントロンからの再三のアプローチにかかわらずブラガ・ネット氏に固執している。27日には現地メディアがセントロン内部からの「嘆かわしい」(フォーリャ紙)、「致命傷になる」(G1サイト)とのブラガ・ネット副候補に対する落胆の声を報じている。
 ブラガ・ネット副候補は、女性どころか男性から見ても「軍人としては良いかもしれないが、政治家としてはどうなのか」と思われかねないイメージを持たれており、ボルソナロ大統領が必要とする女性票は遠のくばかりだ。
 2018年大統領選時にボルソナロ大統領の副候補の噂もあったジャナイーナ・パスコアルサンパウロ州議がツイッターで「ボルソナロ氏はブラガ・ネット氏の副候補を考え直すべきだ」と発言し話題になった。「いっそ私が副候補になった方が」ということか。(陽)


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